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第51話 平行線の見解

 俺のコト、尻軽ビッチだと思ってるんだから。  それでも俺とシているのだから。  俺が誰と寝ようが関係ないし、妬いたりもしない。 「そんなコトないです。小佐田さんが自分以外とエッチしたなんて知ったら、あいつ相手のコト、ボコりますよ。オレがちょっと触っただけでも、あんな怒ってたんですから……」  困ったもんだというように、網野は、呆れた顔を見せる。 「知り合いとヤったって考えて、気分が悪かっただけだろ」  マコトの嫉妬を認めない俺に、網野が()れる。 「小佐田さんは、エッチ出来ればそれでいいんですか? あいつの身体が目当てなんすか?」 「は?」  まるで俺の方がマコトとヤりたがっていると、気持ちなどそっちのけでヤれればいいと思っているかのような問い掛けに、眉根が寄った。 「ヤるコトはやってるけど、なんか冷たいって。恋人じゃなくて、セフレみたいだって悄気てたから」  哀しそうに話す網野に、寂しげなマコトの姿が重なった。  でも、ヤれればいいと思ってるのは。 「それはマコトの方だろっ」  俺は、……好きだ。  愛されたいと思ってる。  セックスなんて二の次でも、無くたって構わない。  だけど。  俺がマコトを繋ぎ止めておくには、それしかないから。  穢い俺が、マコトに愛されることなんて、有り得ないから。  身体で…、気持ちの良いコトで、慰み物としてでも、捕まえておきたかったんだ。 「ヤれればいいって思ってるんなら、反省なんてしないし、あんなに落ち込まないですって」  熱弁する網野に、帰り際に見せるマコトの哀しげな瞳を思い出す。  それでも、勘繰られ浮気を疑われたコトに、代わりはない。 「会社の先輩後輩だって言ってんのに、寝たんじゃねぇかって勘繰りやがって……。俺は、誰とでも寝る尻軽に見えてたってコトだろ。あいつの中の俺は、穢ぇんだよ。誰とでも寝るクソビッチなんだよっ」

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