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第59話 後悔でも、反省でも、懺悔でも

 慰み物として扱われていた俺は、恋するコトを諦めて。  自分が扱われたのと同じように、その辺の見ず知らずの男を都合よく使ってた。  そんな男たちの影を見る度に、お前は嫉妬するんだろ。  ……傷、つくんだろ。  この先一緒にいたところで、無駄にマコトを傷つけるだけなんだ。  不易な事実を独白する俺の顔は、無意識に俯いていった。 「そんな昔のコト、後悔してんの?」  穏やかなマコトの声が、降ってきた。  昔のコトだから、変えられない過去だからこそ、悔やむんだ。 「昔だったとしたって、ここに残ってんじゃん。お前のコト、好きだけど……消えねぇんだよ。過去は、消せねぇの」  これからだって俺は、お前をこうやって傷つけてくんだろ。  俺のだらしなさが、お前に痛みを与えるんだ。 「傍に居たって、お前のコト傷つけるコトしか出来ねぇ………」  尻軽だと思われたのだと、俺は傷ついた。  でもそんな傷、表層を掠めただけの浅い傷だ。  だって、それは嘘じゃない。  愛も恋もなく、色んな男と寝たのは、事実だ。  色んな男の手垢のついた俺は、その影がちらつく度に、マコトの心を掻き(むし)る。  傷つけ続ける俺を、許さなくていい。  そんな穢いお前は要らないと、離れればいい。 「後悔、してんでしょ? それなら……」  何度も紡がれる“後悔”という単語に、変えられない過ぎた日々が、俺の心を逆撫でる。  ギリギリで凪いでいた感情が、大きな波を呼ぶ。 「後悔したら消せんのかよ! 反省したら無くなるのかよっ! それならいくらでも、後悔でも、反省でも、懺悔でもしてやるよ! でも、変わんねぇだろっ」  変わらない穢れた過去は、マコトを傷つけ続ける。  俺には、過去を変える力も、無かったコトにする技量もない。

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