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第四章 堕ちた先に見えたもの

 夕刻、茉理はいつものように下足棟で秀也を待っていた。 「兄さん、遅いな」  もう、20分も待っている。  帰ろうかな、どうしようかな、と考え始めたところに、友人たちがやってきた。 「お、どうしたんだ? 宮園」 「兄さん待ってるんだけど、なかなか来ないんだ」  それには、茉理が残念に思う返事が戻ってきた。 「3年生、今日は補習だから遅いと思うぜ」 「そうなの?」  兄さんったら、教えてくれてもいいじゃん! 「だったら、もう帰っちゃおう」  そして、夕食作って大好きな兄さんを待とう。  予定を変更した茉理は、すぐに歩き始めた。  友人たちとお喋りしながら校門まで来ると、私服の男が目に入った。 (袴田さんだ)  茉理に、緊張が走った。  また兄さんを待って、お金を巻き上げるつもりかな。  そう考えると、居ても立ってもいられない。 「おい、宮園。行こうぜ」 「ごめん。用を思い出しちゃった」  友人たちと別れ、茉理は袴田と対峙した。

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