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第四章・3

 つい、口走った茉理の言葉。  袴田がそれに喰いつくのは、早かった。 「何でもする?」 「え、あ。あの」 「俺の言うこと、何でも聞く?」 「犯罪以外は」  それでいいよ、と袴田は茉理の腕を掴んだ。 「ついて来い」  つんのめるように腕を引かれながら、茉理は袴田の車に乗せられた。  エンジンを掛けると、大音量の音楽が車内を震わせた。 「どこ、行くんですか!」 「Bow, get the fuck though, I don't bluff, bro~♪」  袴田は音楽に夢中なのか、茉理をわざと無視しているのか、答えない。  いいかげん耳がおかしくなり始めた時、ようやく車は駐車場に入った。  袴田のマンションに着いたのだ。

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