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第四章・4

 マンションの一室に押し込まれた時、袴田がやっと口を開いた。 「俺の部屋だ。なんなら、合鍵渡そうか?」 「要りません!」  袴田の部屋は、よく言えば生活感あふれる空間だった。  だが清潔好きな茉理にとっては、雑然と散らかった落ち着かない場所だ。 「で、僕は何をすればいいんですか?」  早く済ませてここから脱出したかったので、茉理は自分から話を振った。  それは、袴田にとって都合のいいことらしかった。  嬉しそうにニヤつくと、先ほどの茉理の言葉を繰り返した。 「何でもします、って言ったな?」 「え、まぁ」 「よし。服を脱げ」 「……えぇッ!?」  かっ、と茉理の耳は熱くなった。  まさか、もしや。 「ヤらせろ。嫌とは言わせないぜ」 「そんな」 「イヤなら、俺はお前の兄貴に会いに行く。骨までしゃぶりつくしてやる」  茉理は、こぶしを握りしめた。  やがて諦めたように開くと、さっさと服を脱ぎ始めた。

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