33 / 96

第五章・2

 あれから何度も、袴田は茉理をいじめた。  身体を嬲るだけでは飽き足らず、心までも踏みにじった。 『おら、早く言えよ!』 『お、お願いしますぅッ。僕を、僕をもっと犯してくださいッ!』 『いい子だな。ご褒美に、何が欲しい?』 『お腹に、おっきぃの挿れて、くださいッ!』 『淫乱だなぁ。さすがΩちゃんだよ』 『うぅ。うっく、うぅ。くぅう……』 『泣いてんじゃねぇよ。ちゃんと喋れよ!』 『は、早く挿れてぇえ!』  思い出したら、また涙が溢れて来た。 「なぁ、茉理。泣いてるんじゃないのか? 病院、行こうか」 「う、ううん。寝てたら、治るから。大丈夫だから」  秀也は黙って出て行ったが、今度現れた時にはトレイにおかゆを持って来てくれた。 「何か、食べた方がいいぞ。レトルトで、ごめんな」 「ありがと。兄さん」  だが、今の茉理には、秀也の優しさが逆に酷だった。 (こんなに優しい兄さんを、僕は裏切ったんだ)  袴田より、自分を責める気持ちの方が大きい茉理だった。

ともだちにシェアしよう!