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第五章・2
あれから何度も、袴田は茉理をいじめた。
身体を嬲るだけでは飽き足らず、心までも踏みにじった。
『おら、早く言えよ!』
『お、お願いしますぅッ。僕を、僕をもっと犯してくださいッ!』
『いい子だな。ご褒美に、何が欲しい?』
『お腹に、おっきぃの挿れて、くださいッ!』
『淫乱だなぁ。さすがΩちゃんだよ』
『うぅ。うっく、うぅ。くぅう……』
『泣いてんじゃねぇよ。ちゃんと喋れよ!』
『は、早く挿れてぇえ!』
思い出したら、また涙が溢れて来た。
「なぁ、茉理。泣いてるんじゃないのか? 病院、行こうか」
「う、ううん。寝てたら、治るから。大丈夫だから」
秀也は黙って出て行ったが、今度現れた時にはトレイにおかゆを持って来てくれた。
「何か、食べた方がいいぞ。レトルトで、ごめんな」
「ありがと。兄さん」
だが、今の茉理には、秀也の優しさが逆に酷だった。
(こんなに優しい兄さんを、僕は裏切ったんだ)
袴田より、自分を責める気持ちの方が大きい茉理だった。
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