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第五章・7
秀也は、そんな茉理にそっとキスをした。
「ぅん……」
優しい、蕩けるようなキス。
かすかにミントの香りのする、素敵なキス。
タバコ臭い袴田とのキスの感触を、秀也のキスはどんどん消していってくれた。
「兄さん、僕のこと抱いてくれる?」
小さな小さな声で、茉理は秀也に訊いてみた。
汚された、僕の身体。
そんな僕でも、兄さんは嫌がらずに抱いてくれるのだろうか。
秀也は何も言わず、唇を茉理の首筋に這わせた。
鎖骨を食み、脇を舐め、胸の小さな乳首を吸った。
「んぁ。あ、はぁ、あ。んっ、あんっ」
秀也は、茉理の身体を清めるかのように手のひらで撫でさすった。
キスを落とし、舌で舐め、時には歯を立て可愛がった。
「あ、兄さん……ッ。あっ、あっ、はぁ、あ……」
穏やかな愛撫は、茉理の心の傷を次第に塞いでいった。
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