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第六章 夜のお仕事
「兄さん。僕、明日外泊してもいい?」
「外泊? 何で?」
「お仕事、入ったから」
仕事? と、秀也は繰り返していた。
「だってお前、まだ高校生だろ。バイト?」
「僕、タレントやってるから」
ぽかん、と口を開け、秀也はソファに座りなおした。
「ちょっと待て。俺に、解るように話せよ」
「お父さんがファッションモデルだから、僕、小さい頃にプロダクションの人に目を付けられたんだ。子役とか、少しやったよ」
「そうだったのか……」
だけど、と秀也は茉理に向き直った。
「外泊、って。収録が夜中にあったりするのか?」
「うん。深夜0時」
「マジで!?」
実は、出たくないんだよね、と茉理はソファに寝ころんだ。
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