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第六章・6
CMが流れる間中、秀也は気が気ではなかった。
「どうか、あの女の子が茉理から離れていますように……!」
『怪奇現象、本当に起きてしまいましたね!』
『薫子ちゃんが、泣いてます!』
『茉理くん、意外と冷静ですね』
『薫子ちゃんに抱きつかれて、別の意味で内心ドキドキなんじゃないですか?』
「ンなわけあるか! 早く現場を映せ!」
焦る秀也の声が届いたのか、カメラはすぐに切り替わった。
『ふぇえん。怖いよぅ~』
『大丈夫だよ』
べそをかく女子を、茉理が励ましてやっている。
「偉いぞ、茉理。でも、もう少し離れろ」
そのうち茉理は、歌を歌い始めた。
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