49 / 96
第六章・10
怪奇の館から解放されたメンバーは、そのまま明るく派手なスタジオへと招かれた。
女の子はもちろん、涙で目を赤くした男性メンバーもいた。
不満そうな茉理の顔もあったが、カメラが向いていると判ると、すぐに笑顔になった。
『どうでしたか? 霊は、本当にいたんですか?』
『いました!』
『いた、と思います』
ボロボロに疲れ果てた若者たちを、ライトが情け容赦なく照らしている。
カメラは、最後に茉理の笑顔をとらえた。
『茉理くんは、すごく頑張ってたけど?』
『いや~。10万円、もらい損ねました』
『度胸ありますね。怖くなかったの?』
『怖かったですよ。でも、頑張るって約束しましたから。兄さんと』
ともだちにシェアしよう!