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第六章・11
ぶぅ、と秀也は画面に向かって噴いた。
「茉理ぃ。スタジオで、そんなことバラす!?」
確かに、頑張れって言ったけど!
応援してたけど!
『お兄さん、ですか!』
『すっごく優しいんです。10万円で、一緒に温泉旅行へ行きたかったんですけど』
『では、そのお兄さんにメッセージをどうぞ!』
『秀也お兄ちゃん! 僕、頑張ったよー!』
Vサインの茉理が笑顔で締めくくってくれたので、メンバーたちの恐怖心は解れた。
最後は泣き笑いしながら、残念賞のホラー映画Blu-rayをもらって、番組は終わった。
秀也は照れて、ニヤニヤしていた。
「ま、こんな番組、誰も見ちゃいないだろうけどさ」
それでも茉理が自分に向けて、頑張った、と言ってくれたことは素直に嬉しかった。
俺でも少しは茉理の役に立てたんだな、と晴れやかな気持ちだった。
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