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第七章・5
「茉理……ッ!」
「ひぁ、あ! キてるッ! 熱いの、キてるぅう!」
薄いスキン越しに、秀也の滾りが茉理の身体を震わせた。
「んぁ、あ。はぁ、はぁ、あぁんッ! お、兄、ちゃん……!」
どさり、と茉理は力尽きてベッドに伏せた。
その上から被さり、横に転がるようにして秀也は茉理を抱いた。
「んぁ……、お兄ちゃん。秀也、お兄ちゃん……」
はぁはぁと息を整えるまで、秀也は茉理を優しく撫でてあげた。
このままゆるりと時間の流れを楽しみたいところだったが、秀也の頭には先ほどの電話が気にかかっている。
「なぁ、茉理。さっきの電話、誰からだ?」
「ん。斎藤さん、っていう、僕がお世話になってるプロダクションの人」
「今すぐ行きます、とか言ってたみたいだけど、大丈夫なのか?」
「あ、そうだった。行かなきゃ。お兄ちゃんも」
「俺もか!?」
余韻もそこそこに、茉理はベッドから飛び起きた。
そして、くらりと来た。
「あ、やば……」
「バカ、急に動くな!」
時間が無いから、と二人で一緒にシャワーを浴び、待ち合わせ場所へ急いだ。
着いたのは、10分前。
斎藤は、まだ来ていなかった。
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