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第七章・6

「やぁ、待たせたね」 「斎藤さん、おはようございます!」  おいおい、と秀也は茉理を見た。 (もう夜だぞ?)  しかし斎藤も、おはようと返してきた。 「ここは現場じゃないから、こんばんは、でも構わないよ」  背の高い、長髪を後ろにくくった男。  スーツを着崩しているが、だらしないよりオシャレに見える。 (年齢は、30代後半くらいかな)  秀也は斎藤を観察し、こちらも挨拶をしてみた。 「兄の賀来 秀也です。いつも弟がお世話になっています」 「斎藤です。よろしく」  そして、君が例の『お兄ちゃん』か、と笑顔を見せた。 「いいね、君。いいよ、秀也お兄ちゃん!」 「はぁ……?」  そして斎藤は席に着き、茉理に仕事の話を始めた。

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