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第七章・7
「茉理くんを気に入ってくれたのは、G&W飲料の広報担当者でね。ぜひ新商品のCMに使いたい、ということだ」
「ホントですか!?」
「良かったな、茉理!」
ところがだ、と斎藤ははしゃぐ二人に口をはさんだ。
「その担当者が、茉理くんのお兄さんにも会ってみたい、とおっしゃってる」
「え?」
「何で、俺が?」
斎藤は両手の指を組み、不敵に笑って見せた。
「うまく行けば、兄弟でCMデビューだ。やるかい?」
「やる! やります、僕! ね、兄さん!」
「いや、待てよ! 俺なんか、無理だよ!」
うんうん、と斎藤はコーヒーを一口飲んだ。
「私も君に会うまでは、無理かな、とは思ってた。だが、秀也くんならいける。一気に現実味を帯びたよ」
「待ってください。俺、茉理みたいに顔良くないし、ダサいし!」
「甘い顔立ちの茉理くんと、引き締まった面立ちの秀也くん。二人のギャップが、面白い。それにね、ヘアスタイルとメイク、衣装で人間いくらでも化けられるよ」
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