62 / 96

第八章・3

「では、新商品のCMは、茉理くんと秀也くんにお願いしようかな!」 「期待してるよ!」  ぱあぁっ、と茉理の表情が晴れた。 「ありがとうございます!」  秀也も、深く頭を下げた。 「ありがとうございます」  そこで斎藤が、立ち上がった。 「じゃあ、茉理くんは私と一緒に来てくれ。G&Wさんと打ち合わせがある。 「はい!」 「秀也くんは、代理店の牟田(むた)さんが、話があるそうだ」 「はい」  茉理は斎藤たちと席を立ち、後には秀也と牟田が残された。  二人きりになると、牟田は途端に身を乗り出してきた。 「ね、秀也くんは茉理くんと、どういう関係?」 「兄弟、ですが」 「それだけ?」  秀也に、緊張が走った。  この人は、俺に何を言わせたいんだろう。

ともだちにシェアしよう!