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第八章・7

「キス、してもいい?」 「何だよ、突然」 「いいから。ね、キスしようよ」 「今、気分じゃない」  やっぱりおかしい、と茉理は勘付いた。  いつもなら、照れながらも応じてくれるのに。 (それに兄さん、何だか暗い)  落ち込んでいる様子が、秀也には見られた。 「兄さん、僕と別れた後で何かあった? 牟田さんに、何か言われた、とか」 「ち、違うよ」  話が核心に近づきつつあったので、秀也は焦って席を立った。 「勉強するから、邪魔しないでくれよ?」 「うん……」  二階へ上って行く秀也を、茉理は不安げに見ていた。

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