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第九章・2

「兄さんは、何も悪くないよ。牟田さんが、無理に誘ったんでしょ?」 「でも」  潤んだ瞳で、茉理は秀也に謝った。 「ごめんね。僕がCMで浮かれてたばっかりに。こんなことなら、お断りすればよかった」 「茉理、それは違うぞ」 「違わないよ。兄さんを巻き込んで、酷い目に遭わせちゃって……」  ぐすぐすと鼻をすする茉理を、秀也は逆に励ました。 「済んだことだよ。もう、二度とこんなこと、無いから。CM、二人で頑張ろう。な?」 「秀也お兄ちゃん」  茉理が秀也に、抱きついた。  ふわりと漂うΩのフェロモンに、秀也は体温が上がった心地がした。 (茉理のフェロモン、さっきより強くなってる?)  お兄ちゃんお兄ちゃん、と柔らかな髪を、温かな素肌を擦り付けられているうちに、秀也は体の中心が充血してきた。

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