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第十章・4
土曜日の仕事は、クイズ番組の収録だった。
結構売れてる奴も中にはいるけど、臆せずやってくれ。
そんな斎藤の言葉通り、出演者の中には有名タレントや芸人がずらりと揃っている。
「僕、こんな人たちと一緒にお仕事できるようになったんだぁ」
「頑張ろうな、茉理」
楽屋で二人喋りあっていると、スタッフがやって来た。
「あ、これ。今日のクイズの回答です。秀也くんが、これ。茉理くんが、こっち」
それぞれ、数枚のメモを渡された。
「え? 回答、って」
「このとおりに、答えてください。アドリブは、無しね」
秀也は、自分のメモと茉理のメモとを見比べた。
『第一問。東京スカイツリーの高さは、何メートル?』
秀也のメモには、634mと正解が書いてある。
一方、茉理のメモには10000mと途方もない間違いが書いてあるのだ。
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