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第十章・6
秀也の剣幕に困ったスタッフは、他に人を連れて来た。
荒れる秀也に、斎藤や番組の司会者、ディレクターまで現れた。
「仕事と割り切ってやってもらわなきゃ、困るよ」
「嘘の仕事なんか、したくありません!」
「世間は、茉理くんにΩの持つ可愛さを求めてるんだよ」
「クイズで的外れな回答することが可愛いとは、俺には思えません!」
それに、と秀也は目に涙をにじませながら訴えた。
「いいかげん、Ωだからこうあるべき、という差別はやめてください!」
悔し涙まで流す秀也を、茉理は呆然と見ていた。
(お兄ちゃん、こんなにまで僕のこと想ってくれるなんて)
言葉をかけようと口を開けた時、別の人物が割って入った。
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