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第十一章・3
3ヶ月ぶりというのに、敏郎は開口一番こう言った。
「驚いたぞ! 電車の中吊り広告に、お前たちがいたんだからな!」
「茉理、タレントのお仕事に秀也くんを巻き込んだんじゃない?」
すぐに日常に入って来る二人に苦笑いして、秀也は真面目に敬へ頭を下げた。
「息子の、秀也です。父が、お世話になります」
「え? あ! そっか、挨拶がまだだったね。ごめんなさい」
宮園 敬です、と茉理の父は、お辞儀をした。
綺麗な人だな、と秀也は思った。
(茉理も大人になったら、こんな風になるのかな)
「こら、見蕩れるな。敬は俺の大切なパートナーだ」
敏郎は、秀也にデコピンをした。
こういう所は、若い頃からちっとも変わらない。
いつまでたっても、秀也を子ども扱いする敏郎だ。
「土産話は長くなるから、しない。聞きたければ、父さんの講演会に来い」
「もう、仕事入れたの!?」
「写真もたくさん撮ったが、近いうちに写真集を出版するからそれを見ろ」
「本も出すの!?」
秀也は、改めて父のバイタリティを痛感した。
これも、茉理と共に業界の仕事をかじったゆえの賜物ではあるが。
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