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第3話
屋上に行ったけど
ヒラコはいなかった
ヒラコはレアキャラらしい
なんだ、見てみたかったのに
ゲームセンター寄って帰ろうぜって
日向に誘われたけど
今日は用事があったから明日誘って、とお願いをした
日向とバイバイして
今日の用事、
理事長室にお邪魔した
「どうだい?学校生活は」
『まだよくわからないけど』
「噂になってるじゃないか、転校初日に1年のトップシメたって」
『まぁ運が良かったっていうか、悪かったっていうか』
「西条朱里の再来だ、と教員の間でも話題になっているよ」
『なんだよ、理事長まで。なに、朱里くんって』
「先月までうちの学校の1年と2年のトップだった子だ。君には彼を超えてもらわないとね」
『なんかなー。やだ。帰る』
「紗雪、わかってるよね?君がここに居れる理由を」
みんなして
朱里くん
朱里くんって
そんな比較するなら
ちゃんとおしえてよ。朱里くんの
やだやだ、とイライラして泣きそうになった
そこでもう一気にネガティブになって
負のスパイラルは止まらなくて
涙が零れてしまった
「おいお前!」
と泣きながら歩いていたら下駄箱の所で囲まれた
『うるさい、構うな』
「は、泣いて、」
「やべ、おれなんかドキドキしてきた」
「そんなの関係ねえって、日向の隣で調子乗ってるからシメてやらねえと」
『うるさいって、ぐす、ぅっ』
「泣くなよ、やりにくいだろ!」
「関係ねえって!かかれ!」
と一気に殴りかかってきた
なんだよ、いまそんな気分じゃないのに
『ぅえっ、ぐすっ、』
が、こちらが泣いているからか
「泣くなよぉー、やりにくいって」
『ほっとけって言ってんじゃん、』
「ほっとけねえだろ、そんな泣いてたら。なぁ?」
「おう、俺らでよければ話聞くぜ?」
「お、俺ハンカチあるぞ!」
と、ケンカはやめたらしく
ハンカチまで差し出してくれた
それを受け取ってどうにか涙を拭った
「どうした?何か嫌なことでもあったか?」
『嫌なことしかないよ、もう』
「相談乗るぞ?どうした?」
と、頭まで撫でてくれる
『みんな、』
「あ?なんだ?」
『いいやつじゃん、』
「は?なに言ってんだよ!」
『優しいんだねって、』
「そ、そんな事ねえよ!」
ぐすっと、鼻をすすり
少しだけ上を向くと
1人とパチリ、と目が合った
それにつられるように
ぱちぱち、と残りの2人とも目があって
泣いている顔見られた、
恥ずかしい
夕日のせいか
赤く染まっている3人の顔
『おかげで、ちょっと落ち着いた、ありがとう』
と、どうにか涙を拭ってみせると
「俺、さっきから心臓の辺りがおかしいんだが」
「お、おう、じゃ、じゃあ今日のところはここら辺で勘弁してやるか」
「か、帰るぞ!」
と、さっさと退散してしまった3人
あれ、ハンカチ
そして翌日
学校にいくと
転校生が山ちゃん達を落としたらしいと
根も葉もない噂が流れていた
「お前順調にシメてるらしいな。そろそろ俺らと闘おうぜ」
『うーん、もうちょっとまって』
せめて中間テストまで、
「なんだよもうちょっとって」
「日向ー!雪さん!体育祭の張り紙出てたぜ!」
「おー、もうそんな時期か。今年は俺らが仕掛ける側だよな」
『体育祭?』
「5月にあるんだよ。1年と2年が公の場で戦えるっつう毎年恒例行事でな。で、本番までに1年の数減らすのも毎年恒例」
恐ろしい行事だ、とおもいながら
購買に行って
戦争に負けて
擦りむいた腕を治療する為に
保健室に向かった
失礼しまーすと入ると
先生はいなくて ベッドは使用中だった
とりあえず消毒液と絆創膏をもらえればいいや、と勝手に漁る
すると
後ろに気配を感じて振り向く
「あんた、何?」
『は?』
あ、イケメンだ
どっかで見た事あるかも
「がさがさがさがさ、うるさいんだけど」
『すみません』
先輩かも
身長が高い
強そう
こわい
「あれ?あんた見ない顔だね」
『この前転校してきたから』
「あぁ、噂の。てゆーかあんた本当に男なの?」
『は?なんでですか?』
「この前までうちの連中をシメまくってたやつが女だったからね。強かったんだけど」
『また朱里くんですか』
「しってんの?」
『名前くらいは。ねえ、なんで朱里くんは女だったんですか?なんで学校辞めちゃったんですか?』
「話せば長くなるけど、聞く?」
『聞く』
西条朱里くんがどうして女の子なのに
この学校にいたかというと本当ら通うはずだったのに兄が失踪したからとかなんとか家庭の事情だったらしい
ケンカが原因でちょっと事件になってしまったところ、朱里くんが女の子て自ら認めて
この学校を去った話を聞いた
それで仲の良かった日向は寂しいらしい
一番仲が良かったから
よけい寂しかったから
日向が一番朱里くんの話題を嫌っている
会えばいいんじゃない?って言ったけど
朱里くんは普通の女の子に戻る事を選んだから
捨てられた気分だったみたい
『ふーん、そんなの、僕と関係ないじゃん』
「似てるんだよ、あんたが女みたいな顔してんのに転校早々1年シメた強さがあるところが。嫌でも重ねるでしょ?」
『だって、ぼくは朱里くんと違ってそんな強くないし』
「確かにあんた弱そうだよね。それでよく1年シメたね」
『本当は強いよ』
さっきは強くないよって言ったけど
制覇するなら強くなきゃいけないから
強いよって嘘を言った
「あんた面白いねー」
『ねえ、なんで朱里くんの事教えてくれたの?』
「そんなの面白そうだからに決まってるでしょ?」
『面白くなった?朱里くんのこと教えて』
「ねえ、あんた本当に女じゃないの?」
『いや、この学校のですよ 』
「前例があるからね」
『僕と朱里くんは関係ないのに』
「そうだろうけどねー。男なら服脱いでよ」
『なんでですか』
「男なら脱げるでしょ、脱いでみてよ」
と、擦りむいた腕を掴まれた
痛いって思ったけど
弱いって思われたくなかったから
痛いって言わなかった
やだ、とそっぽを向くと
どさ、とベッドに押し倒されて
近すぎる顔と目が会う
『あ、』
「何?」
『平子くんだ、モデルの』
「え?なに?気付いてなかったの?」
『どっかでみたことあるって、思ってました』
「ショックだなー、同世代には結構有名なつもりだったんだけど」
『知ってましたって。どいてくれないですか?』
「そんなんで誤魔化せると思ってんの?」
と、平子くんが僕のカーディガンのボタンに手をかけた
脱がされるかな
寒そうだな、
『もし仮に、女の子だったとしますよ』
「うん、そうでしょ?」
『仮にです。仮に女の子だったら、ひらこくん服脱がしちゃっていいの?芸能人が女の子の服脱がしちゃって』
「なに?脅しのつもり?それに今ここで女のあんたの服を脱がせたとして誰に訴えるの?訴えてもいいけどまず、性別偽ってうちの学校に入ってるのほうが問題だよね」
『脅しじゃないし、訴えるつもりもないけど、』
「けどなんなのさ」
『モデルのひらこくんに男の子のぼくが押し倒されて服ぬがされちゃったぁってなりますけど大丈夫ですか?』
「プライド的な?」
『それに、男の子だったら女と男間違えたって事になるから、もっとプライド傷つく』
「そんなの俺の勝手だとおもうけど」
『でも、とりあえず今腕擦りむいてるから、手離して欲しいです』
と、ちょっと腕をねじって
擦りむいているところを見せた
「うわ、どうしたの?」
と、ひらこくんは手を離してくれた
先輩だからひらこくんじゃなくて
ひらこ先輩か
『ちょっと購買戦争に慣れなくて』
「だっさ」
ようやく解放されて
外されたカーディガンのボタンを止めた
『あれ、ひらこ先輩?』
「何、いきなり先輩って」
『日向が言ってた、きさきとひらこ』
「は?」
うちの学校を制覇するには
きさきとひらこも倒さなきゃいけないって
『モデルのひらこくんってヤンキーだったんだ』
「は?あんた意味わかんない」
別に意味わからなくてもいいか
とりあえず僕は消毒したい、と
消毒液を漁るのを再開する
「何してんの」
『消毒と絆創膏だけもらったら帰ります』
「それならこっち」
と出してくれた
やって、と腕を出すと眉間にシワを寄せるひらこ先輩
『だって、右手だから難しい』
「あんたは朱里より自分勝手そうだね」
『朱里くんとは違うから。勝手に比べないで』
「ふーん、あんたは朱里よりおもしろそうだ」
比べないでって言ってるのに
平子先輩って
ちょっと意地悪だな
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