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第9話

日向が納得してくれたけど クラスに戻ると 雪さん今日もプール出ないのかよー 女なんじゃねえの、とクラスが不穏な空気になり 脱いで見ればわかるだろ、 と、ジリジリせまられた時だ 「ちげーよ、俺こいつと裸の付き合いしたし?生えてたし」 と、恥ずかしいフォローを日向がいれてくれて クラスの奴らの動きがぴたりと止まった 「まじで、どうだった?」 何がどうだっただよ 「聞いてやるな、雪さんを見ればわかるだろ」 「あぁ、貧相なんだな」 「そりゃプールも入れねえしトイレも個室に入りたくなるよな」 「かわいそうに」 「気にすんな、男はナニのデカさじゃねえ、懐の深さが大事だ」 と、肩を叩かれ励まされる始末 『なんかツライ。プールの間保健室行ってくる』 と、その場を後にした なんだよ 見たことないくせに 濡れ衣だろ まぁ、確かに 小さめかもしれないけど 『しつれーしまーす』 と、誰もいないだろう保健室に行って 名簿に名前を書いて寝ようとすると 『うわ』 「うわじゃないよ。またサボり?」 『サボりじゃないです。平子先輩はサボりだけど』 「勝手なこと言ってないでよねー。あんたのクラスのプールでしょ?やっぱりあんた脱げないんでしょ」 『なんでうちのクラスの授業知ってるんですか』 「さっき海パン履いた日向見たからね」 『ふーん』 「一緒に寝る?」 と、少しずれてベッドの幅を空けてくれる 『一人で寝たいです』 「なんであんたプール出ないの?」 『…貧相すぎて脱ぐのが恥ずかしいから』 「あぁ」 と、すんなり納得されてしまって ちょっと解せない 『納得しないでください』 「だってあんた見るからに貧相そうだから」 『なんですかそれ。そういう先輩はどうなんですか』 「確かめてみる?」 『いいです』 どいて、と目で訴えるけど 先輩はどいてくれなくて はぁ、とため息を履いた 「見せてよ、あんたの身体」 『やだ』 いやだ、と先輩に背中を向け ベッドはあきらめようとした時だ 首に手をかけられて ぐい、と後ろに引かれる 急に引かれたから ぐえ、と変な声が出てしまった 『ねえ、やだ』 「何が?」 『身体、見ないで』 「なんで?」 『見られたくないから』 「女の子だから?」 『でも先輩、なんだかんだで僕が着替える時出て行ってくれたりするから好き』 「なんでそうなるかなー」 どうすればいいかな、と 向きを変えて先輩の膝の上に乗った やめてよ、とちょっと身体を倒した先輩 『見たら、僕が男の子って信じてくれるの?』 と、ボタンに手をかけた 「え?本気?」 『だってぼく男の子なんだもん』 先輩が信じてくれるなら、と ボタンを外すのをやめて 先輩の手を僕の情けない胸に持っていった 「本当だ、ぺったんこ」 『まだ信じられないなら下も確認してもいいけど、』 それはちょっと恥ずかしいかな 「あんた兄弟は?」 『いない、一人っ子』 「本当にー?」 なんで、そんなこと聞くのかよくわからなかった 「朱里が自分が男だって証明するために兄貴の写真持ってきた事あったからさ」 『戸籍謄本もってこようか』 信じて欲しいのに 「いいよ、じゃあ信じてあげる。あんたが男だって」 本当に信じてくれたのかな 『信じてくれたの?僕男の子だって』 「だってないじゃん、胸」 そうだけど じ、と至近距離でひらこせんぱいの目を見てもそらされた 『ねえ』 「なに?」 『女の子じゃなかったら僕に興味なくなる?』 「どうだろうね」 『やだ、先輩』 僕の顔みて、と先輩のほっぺたを両手で挟んだ このせんぱいは、 僕が男だってわかったら 話しかけてくれなくなるかもしれない 今は物珍しくて 朱里くんの代わりに僕で遊んでいるけど そう考えたらイライラして 寂しかった 「やめてよ、男なんでしょ」 『僕は女の子だよ』 そしてそのまま ちゅう、と先輩のくちびるに吸い付いた 「ちょっと、なにすんの?俺、男には興味無いんだけど」 『だから僕女の子だって』 「だって胸にないじゃん。ぺったんこ」 『潰してるだけだよ』 嘘だけど 「じゃあ脱いで見せて」 『…やだ』 「なんで?男なのに」 『裸は見られたくないの』 「あんた本当にどっち」 『内緒』 だって先輩 ぼくの裸見たら僕に興味なくなってもう話してくれないから そんなの、嫌だったから 「ねえ、女だったらさ、なんでそんなに危機感なく俺の膝の上に乗ってキスなんてできるの?」 『ひらこせんぱいに興味があるから』 「俺がモデルだから?」 『ぼくはTVとか見ないから』 なんで興味があるかなんて決まってるじゃないか 先輩が先にぼくに興味を持ったから 一番最初に朱里くんと違うって言ってくれたのは先輩だから 『先輩、ぼくもう戻る』 またね、と先輩の膝から降りると ぐい、と先輩に腕を引かれた そしてベッドに押し倒される 『ちょ、』 「あんまり先輩バカにすると痛い目合うよ」 手首をベッドに縫い付けられて 先輩の目が僕の目を見た 力が強くて動けない 『あ、』 「なに、その顔」 『先輩やっと僕の顔見た』 「変なやつ」 『変じゃないよ』 「脱がせるよ」 と、先輩は僕の両手を片手で抑えて 片手でワイシャツのボタンを外しにかかる 『ねえ、やだ。ひらこせんぱい、やだから』 手が動かせなくて バタバタと足だけ動かす けど、先輩はやめてくれなくて 1つ、また1つとボタンが開いた やだって言ってるのに聞いてくれなくて じわ、と目が熱くなった やだって言ってるのに やめてくれない 見られたくないのに やだやだ、と首を振るけど どうにもならなくて 涙が目にたまっていた涙がこぼれた 「はぁ」 先輩のため息の音が聞こえたと思ったら 先輩は手を離してくれた 「なんで泣くの。悪いことしてるみたいじゃん」 『悪いことしてるから』 「泣くなよ、女泣かしてるみたいじゃん」 と、僕の手を放して涙を拭いてくれた 『だって』 「なんで泣くほど嫌なの?」 『おんなだから』 「適当なこと言うね」 ぷち、とボタンを止め直してくれて 僕に掛け布団を掛けた 『先輩どこいくの?』 「帰るんだよ。仕事」 『先輩』 「なに?」 『ぼく、来週もプール休むよ』 「なんで?」 『女の子だから』 「あんた本当に何なんだろうね」 『せんぱいすきだよ。なんだかんだで最後は僕に優しくしてくれる所が』 「俺、男には興味無いって言ってるでしょ」 ぼくだって 同性愛とかよくわからないけど 先輩はすき 日向とか きさきとか ふぶき先輩とか ひらこせんぱいにはある 性格悪くて いじわるだけど すき ドMなのかな、おれ ひらこせんぱいは ぼくが必死に引き止めないとどっか行っちゃう気がする

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