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第12話

大変だ大変だ! 雪さん理事長の知り合いだってよ! 朱里と同じだ、ぜってえ女だって! と、いう話は瞬く間に広がって タイプ 1 「雪ちゃん、荷物持ってやるよ」 「雪ちゃん、欲しいパン取ってやるよ、どれが欲しい?」 と、 タイプ 2 「女のくせに男子校通ってんじゃねえ」 「女がいたらやりずらくてたまんねえぜ」 と、 タイプ 3 「………」 無関心かなんにも言ってこない割に 影からずっとみてくる人 と、周囲の反応はだいたい3タイプに分かれていた いや、その前にぼく男だし だからちょっとちゃんと男らしくしよう習慣を始めていた まぁ、もうすぐ夏休みだし… 夏休みが終わった頃にはこの変な噂も落ち着くだろう それに、 半分くらいは寮生が通う男子校だ だから、かなりの割合の生徒達が女子との関わりがない だから、学校にいるちょっと女顔の僕が余計女に見えてしまうんだろう 夏休みになって、 実際の女の子がいる生活をすれば ちょっと女顔のだけの僕なんて気にならなくなるだろう 『きさきいー、今日学校のあとひま?』 「まぁ、空いているが」 『テスト勉強しよ。教えたげる』 「………」 『きさきは頭良くないよねえ』 「うるさい…」 きさきは体育会系 見た目は日向よりきさきの方が勉強できそうなのにまさかの逆だった 『じゃあ終わったらうちの教室来てね』 と、言って 男らしくしよう習慣だったため 『教室来いよ』 「なんだよ、命令しなくても行くって」 『いや、男らしくしようとしただけ』 「そんな事気にしてんのか」 『……そんなことじゃないのに』 「そんな事だろ」 『きさきはいいよねえ、僕とおんなじ女顔なのに女って言われなくて』 筋肉あるし、強いし 「まぁ、俺はずっとこの学校にいるからな」 『ねえ、ぼくも強くなったら女って言われないかな!』 「まぁ、…そうだと思うが?」 『じゃあきさきがぼくに強くなる為に色々教えて!筋トレとか』 「そうだな、でも1つ確認していいか?」 『うん、なに?』 「お前、男であってるよな?」 『……ひどい!きさきまで!』 「いや、念の為確認だぞ」 『なんで確認すんの、ぼくは…だから、男だっんっどぅふぅっ』 と、 男だってって言おうとしたら 後ろから飛んできた何かに吹っ飛ばされる そして、 「んごっ!」 と、正面にいたきさきにつっこむ 「おい!女にぶつかったじゃねえか!オレまで女になるだろ!」 と、後ろからぼくを吹っ飛ばしたのはタイプ2の人だったようだ 『いててて、ごめん、きさき………ぁ、』 と、押し倒したきさきの手は ピッタリ、とぼくの胸に当たっていた そして、 僕の胸の上でもにもにと動くきさきの手 「……ないな、」 『このやろ、えっち、』 「…男だろ、そういう言い方やめろ……それよりお前ら」 と、きさきは僕を横に座らせ ぼくにぶつかってきた奴らに向かって指をポキポキと鳴らした 「ぶつかったなら謝れ」 「あぁ?女子が2人でワーワーうっせえよ!」 『ぉおぅふ』 きさきまで女子の仲間入りさせてしまった 立ち上がったきさきのこめかみに ピキっと筋が入ったのが見えた あれ、これやべえやつ 『あ、あのぉ、僕はともかくきさきは…』 「お后様とお姫様がよぉ!」 あぁ、これはダメなやつ、と脳が認識するのと同時に バキボキドカッという音 そして、 僕らの事を煽っていた男が遥か彼方に飛んでいく 「今、なんて言った?」 「ひっ、ひぃっ!」 と、尻もちを付いて後ずさる男に向かって きさきが詰め寄る いや、これはやばい、 止めなきゃやばい 『き、きさきぃ!もう、怖がってるから!』 きさきを止めようと腕にしがみつくけど きさきはガチ筋肉だから ズルズルとそのまま引きづられてしまう 『逃げろぉ!』 僕だけじゃどうにもならなかったから 男に向かって叫ぶと 僕にぶつかってきた男とその友達は おぼえてろぉっととても情けない三下みたいな言葉を残して逃げていく それでもきさきは追いかけようとするから 『きさき!落ち着いて!』 と、きさきの胴体にしがみついた するとようやく僕の声が聞こえたのか きさきは追いかけるのを止めてくれた 「くそっ」 『気にしない方がいいって、きさき』 「お前は…いつもこんな事言われてるのか」 『えっと、まあいつもではないけど』 今回のはとくに酷かったけど 「気にならないのか?」 『いや、気になるし嫌だけど…周りがなんと言おうと僕は男だし』 言ったって聞いてくれないし…みんな 僕がみんなの前で脱いだりすればまた違うんだろうけど そっちの方が僕は嫌だし… 「悪かったな、疑って」 『いいよ、そんなの。でももう信じてくれた?』 「あぁ、当たり前だろ…胸もなかったしな」 『変態野郎じゃないか』 「不可抗力だ」 まぁ、そうだけど きさき不可抗力って言葉知ってたんだね 今回はきさきも僕と話していたから女扱いされたけどきさきは顔がかわいい系なだけで 普通にプール出てるし まぁ、女顔っていうか かわいいフェイスなだけだから 僕より女扱いされるの、慣れてないんだろうな 『巻き込んでごめんね』 「お前が謝ることなんてなんにもないだろ」 『ありがとう、きさき』 「お前のためじゃない」 と、ふん、と言ったきさき なんだそれ、 きさきいいやつだし なに、ツンデレみたいな、 『きさきかわいい…』 「は!?」 まぁ、頭悪いから自分のかわいさ分かってなさそうだけど

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