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第14話

屋上に行くまでに我慢できずに もらったチョコを食べた 「おー、終わったか?」 『うん、すんなり終わった』 「どうしたんだ?」 と、きさきに聞かれて 『大島くんに教えてたー』 「大島?誰だ?」 『あれ?きさきのクラスじゃなかったっけ?』 「うちのクラスに大島はいない」 『じゃあ逆の隣かな?』 「大島、すっげえユキにばっかり聞くよな…」 『うーん、日向明るすぎて聞きにくいんじゃない?』 苦手って言っていたけどそれは言わないでおいた 「雪、飯食わねえの?」 『んー、なんかチョコ食ったら逆にお腹いっぱいになっちゃったから後にしようかなって』 「飯の前に菓子とか食うなよー」 まぁ、そりゃそうだけど お母さんみたいな事いうな、日向は 『そうだよねー…なんか暑くない?』 「そうか?つかこんな時期に厚着してたらそりゃ暑いって」 『そりゃそうか』 と、カーディガンを脱いだ たしかに室外だと暑いよな そろそろ屋上でお昼するのは無理があるかも 『あつーい、』 と、首筋を伝う汗を拭った 「大丈夫か?熱中症とかじゃないよな?」 『体調悪かったりは無いんだけど…暑いだけ』 暑いと自覚したからか 余計暑い気がする 『…ふぅ、』 「そんな暑いなら中入ろうぜ、確かに今日暑いよな」 入ろ入ろ、と もうご飯を食べ終わっていた 日向ときさきは立ち上がって中に入ろうとするから ぼくもついて行こうと立ち上がった しかし、 ガク、と足から力が抜ける 『……は、れ?』 「ユキ!?どうした!?」 『な、なんか力が抜けちゃって』 「やっぱり熱中症とかじゃ、ユキ、大丈夫か?」 と、日向が身体を支えてくれる 「汗もかいてるしな…」 と、心配そうに覗き込んでくるきさき 『えっ、と、な、んだろ…?』 身体が熱くて 力が入らない、 「とりあえず涼しいところ行くぞ!」 と、日向ときさきが両側から身体を支えてくれて 室内に入って顔に涼しい顔が当たるけど 全然涼しくならなくて 「とりあえず俺はユキを保健室連れていくからキサキは担任か保健室の先生探してくれるか!?」 「あぁ、わかった!」 と、日向がおんぶしてくれて 日向の背中に揺られて 日向が急いでくれているのがわかる 『ひなたぁ、だいじょうぶだよ、なんか、あつくてちからぬけるだけだし、』 「でも熱中症とかだったら」 『んんん、ぅ、ねっちゅうしょうかなぁ、』 そうなのかな、 なんか、ふわふわする あれ、この感じ ふわふわっていうより…… 保健室について 日向はぼくをベッドに寝せてくれる 『ひなたぁ、』 熱い 熱すぎる カーディガンを脱ごうとしても 指に力が入らなくて ボタンを外せないでいると 日向がボタンを外してくれる タオルで首筋を伝う汗も拭ってくれる 「…顔、赤いな」 『ひなた、あつい、』 「とりあえずこれ、飲めるか?」 と、飲み物を差し出してくれるけど 焦点が合わなくて 受け取ろうとする手にも力が入らなくて そんなぼくの背中を支えて 飲み物を口まで運んでくれる ごくん、と1口飲むけど 飲みきれなかったぶんが口の端から伝ってしまう 『ひなたぁ、あつい…っはぁ、っ』 ぼくのワイシャツも脱がせようと 日向はボタンに手をかけるけど 『や、シャツは、ぬがせないでぇ、いや、やだっ…はぁ、ぁっ』 やだ、やだ、と 首を振ると 日向は手を止めてくれて 冷凍庫から氷枕を出してくれる 熱くて 日向が支えてくれてる背中がゾワゾワする なんだ、この感じ 頬にかかった髪を避けようと伸びてきた日向の手に すり、と頬擦りをする 日向の手に触れた所が じわじわと気持ちいいのが広がるような感じがして すりすり、と擦り寄った 「…っお、おい」 『ひなぁ、下、ぬがせてぇ』 熱い、苦しい、 これって ふわふわっていうより… むらむら? 「下って、」 『ひなたぁ、くるしい、むずむずする、からだ、したのほう』 日向の視線が下に下がるけど すぐに僕から目をそらす日向 「お、おれ、キサキ探してくるから!大人しく待ってろよ!」 と、保健室を飛び出した日向 『ひなぁ、っんん、ぅ、』 行かないでえ、 つらい、と 保健室のドアの方に手を伸ばしたけど 日向は行ってしまって その時だ ガラッという音で顔を上げた 日向が戻ってきたのかと思ったけど そこに居たのは 大島くんで 『ななんで、』 「ぼ、ぼくはただ!雪くんが保健室に運ばれたって聞いたから…ゆ、雪くん!大丈夫!?」 『えっと、なんで、…ふぅ、』 ベッドの傍に駆け寄ってきた大島くんは 息が荒くて ふんすふんす、と鼻息を噴射してる 『あ、えっと…大丈夫だか、ら、』 そんなに荒い息されてると 僕まで熱くなってしまう 「熱いんだね、服脱がせるよ!僕が!」 と、大島くんの手が伸びてきて 『あ、いい、いいから、…』 と、その手を避けようとするけど 避けられなくて ボタンが外されていく 『ねえ、やだ、いいから…』 と、大島くんの腕を掴むけど 力が入らなくて 「あ、汗かいてるね、拭いてあげるから!」 抵抗ができない ボタンを外されて シャツをまくろうとしてくるのが嫌で ぎゅう、と抑えるけど 力が入らないから まくられて肌が見えてしまう やだ、 見られたくない、 『ぐすっ、やだ、やだぁっ!』 その時だ 「何やってんだ!」 と、勢いよくドアが開いて 日向が戻ってきた 『ひ、ひなたぁ、』 「な、なんだ!ぼ、僕はただ、雪くんを楽にしてあげようと」 「嫌がってるだろ!だいたいなんでお前はここにいるんだよ」 「だ、だから、僕は雪くんが具合悪いって聞いて」 「誰から聞いたんだよ!まさか、お前がユキになんかしたのか?」 「ぼ、ぼくは!べつに…!っ 」 「ユキ、大丈夫か!?」 と、日向はぼくに駆け寄って タオルで僕のことをくるんで 身体を隠してくれる 『ひなぁ、』 「ユキに何した!?」 「ぼ、僕はただ!」 日向は指をバキバキ鳴らしながら 問い詰めると 大島くんは後ずさりをして 動揺する 「ぼ、僕はただ、雪くんにチョコを…」 「チョコ!?ユキ、こいつからなんか貰ったのか?」 『た、べた、ちょこ…』 「それか…何入れやがった!」 「ちょ、ちょっとした媚薬だよ…まぁ、大した効き目は無いお菓子みたいなものだけど…」 「趣味悪りいことしてんじゃねえよ!」 「だって!僕は雪くんを助けたかったのに!」 『たすけたい…?』 「女の子なのに!お、男の群れの中に入れられて!お前らみたいな野蛮な奴らが周りをうろついているなんて…おかしいだろ、」 『えっと、ぼくは、だから…』 男だって! と、言おうとした しかし、 その前に バギィッと言う鈍い音に 「ぶひぃぅうぃっ!」 と、いう声と共に吹っ飛ぶ 大島くん 「ふざけんじゃねぇ!こいつは女じゃねえし、俺らのダチだ!変な因縁つけてくんじゃねえ!」 『ひなたぁ、』 「ぅ、うるさい、!」 『おおしまくん……』 と、声をかけると 日向に殴られた頬を抑えながら 僕の顔を見る大島くん そして 「小嶋だよぉぉうぉおぉぉおぉ!」 と、保健室から飛び出して行った あれ、 小嶋だっけ…

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