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第23話

『…ちょっと気持ち悪いからねる』 と、行きの車の中の1番後ろの席で ぐでっとしていた 「なんだユキ、車酔いか?情けねえなあ」 と、隣の隣の席で日向が言った ちなみに席順は 後ろから 僕 きさき 日向 平子先輩 吹雪先輩 理事長 という順で並んでいた 「というか何故理事長が運転してるんだ?」 『……知り合いだから』 「なに、あんた理事長の知り合いなの?じゃあコネ使って俺の事卒業させてよ…」 「…平子、無茶言うな」 『………だから寝るって言ってんだから話しかけないで』 「大丈夫か?雪。俺に寄りかかってもいいぞ」 と、隣に座るきさきが言ってくれて まじいいやつ きさき良いやつ 「ねえ、理事長の知り合いってやっぱりコネ入学なの?」 『………平子先輩』 「なに?」 『……吐きそう』 「……は!?もう吐く!?袋!」 「ユキ吐く!?袋なら俺あるぜ!」 と、ドタバタと先輩は動き出したけど 実際まだそんな吐きそうじゃなかった 窓を少しだけ開けるとすっきりした 気持ちいい、 これで寝れる、と きさきの肩に寄りかかる 「雪、大丈夫か」 『うん、窓開けてこういう風に大人しくしとけば大丈夫かも』 と、目を閉じる せっかくみんなで遊びに来たから 楽しみたかったのに 先輩に振られたりして勝手にちょっと気まずく感じている しばらく目を閉じていたら本当に眠ってしまって 次に目を覚ました時は 車内がシーンとしていて みんな寝ている事がわかった んん、よく寝た 寝たら気持ち悪いのが無くなっていて んんん、と伸びをしたあと 何時だろ、とスマホを出し確認した その時 すっ、と上からスマホが取られて それにつられて顔を上げる 『わ、』 「そんなの見てるとまた具合悪くなるよ」 と、前の席からこちらを覗き込み 僕のスマホを持っている平子先輩 他の人はみんな寝ているから ヒソヒソと喋る平子先輩 『な、に?』 「だから具合悪くなるって。ほら、これあげる」 と、飴玉を僕にくれて 『あめ、』 「舐めてれば?」 『ありがとう、ございます、』 そして 裏返してスマホを返してくれる 「大丈夫?」 『なにがですか、』 「気持ち悪いの」 『うん、…大丈夫』 「そう?その割に元気ないけど」 『えっと、そんな事ないです』 それは先輩に振られたからです、とおもいつつも 「なに、まさか車酔いの次はトイレとか?理事長にサービスエリア寄ってもらう?」 『ち、ちがう』 「本当?漏らしたりしないでよ」 『いや、子供じゃないし』 「…俺はトイレ行きたい」 と、不意に横から聞こえて来た声に ばっ、とそちらを向く 『きさき、トイレ?』 「あぁ、結構、やばい」 と、きさきは少しだけぷるぷる震えてた 『ええ、理事長!次のサービスエリア止まってね!』 「俺ペットボトル持ってるぞ!」 と、いつの間に起きたのか 日向がペットボトルを出す 「ボトラーとかないわ」 と、平子先輩は言って 車内は再びバタバタしだした その間、吹雪先輩はずっと寝てる この人眠り深いんだな…… その後まもなくサービスエリアにつき きさきは真っ先にトイレに駆け込み ボトラーを免れた 僕はずっと車内で座っていて 凝り固まった身体を伸ばそうと伸びをする 「ユキー!なんか食い物買おうぜ!」 と、日向に肩を組まれ 路面店の方に向かう サービスエリア来ると なんかこういうの食べたくなっちゃうよね 『フランクフルト食べよ、フランクフルト』 と、フランクフルトのお店に行って フランクフルトを買い 「次ソフトクリームも買おうぜー!」 と、2人で走り出そうとして ぐいっと腕を引かれた 『わ、なに、』 「落とすよ。食ってからにしなよ」 『……』 「ヒラコ!お前もくるか?」 「行かないって。女が食いもん持ったまま走んなって言ってるだけ」 『女じゃねえし』 「なに、そのかわいく無い言い方。気に食わないんだけど」 と、平子先輩は僕の鼻の頭をデコピンした 『いたっ』 「お前生意気なんだよ。調子乗んな」 と、先輩は僕の目を見ていった そして僕の手からフランクフルトを奪って車の方に行ってしまった なにそれ、 「ユキ、ヒラコとなんかあったのか?」 『えっと、特に……』 「そうか?まぁ、ヒラコも気まぐれ出しな。つかキサキおせえなあ、迷ったか?」 『かなー?僕ちょっと見てくるね』 「おお。じゃあアイス買っとくけどなにがいい?」 『ミックス!』 「りょうかい」 と、日向にアイスをお願いして 僕はきさきを探しに行く 『あ、いた』 と、少し遠くにいるきさきを見つけて 手を振りながら駆け寄る 『きさきー!トイレ間に合ったー?』 すると、 「あれ?お友達?」 と、きさきの前にいた人達がこっちを振り向く 2人組の知らない人、 道でも聞かれたかな 『きさき?』 「あれ、そっちの子もかわいいじゃん。なに、海とか行くの?」 「はぁ、よりによってお前とは」 と、きさきは頭を抱えた 『んん?なにが?…というか、だれ?』 「行くぞ。雪」 と、きさきは僕の背中を押して歩き始める 「おい、ちょっと待てよ」 と、きさきの腕をつかむ知らない人 しかし、きさきはその手を振り払い 「うっせえ、離せ」 と、相手を睨む 『き、きさき。穏便に、』 「あれー?生意気だね」 「うるせえ。俺らは男だ」 と、睨む あ、もしかしてナンパとかされてたやつ、 「つかその嘘さすがに無理あるっしょー」 と、ものすごく失礼な事を言われ 僕もちょっとイラッとする 『だから、僕もこいつも、男…』 男だって! と、言おうとした時だ ぐい、と首根っこを掴まれ 後ろに引かれると 僕だけじゃなくてきさきも同じようにされていた 「俺らのツレになんか用?」 と、振り向くと 僕の首根っこを平子先輩、 きさきの方を吹雪先輩が掴んでいた 「吹雪先輩!」 「な、なんでもないでーす」 と、後ずさりをして逃げていった ナンパの2人組 「あんたら、女顔なんだから2人でうろつくなよ」 『……しょうがないじゃないですか』 「つか日向は?」 『あ、日向なら』 と、そのタイミングで 「ユキー!早くアイス!溶けるって!」 と、こちらに走ってくる日向 『日向ー!』 と、手を振って居場所を伝える しかし その瞬間 平子先輩が僕の顎を掴んで 先輩の方を向かせる そして 『んぐっ』 ぐ、っと口に何かを押し込まれ ぐぽぐぽと 出し入れされる 『んっ、んッ、んむっ、む、』 喉の奥 ぐぽぐぽされるのくるしい、と 目の端に涙が滲んでしまう 苦しくて 変な声が漏れてしまう 先輩のせいでよだれが垂れそうになる やめて、と先輩の胸を押すと ようやく手が離されて 開放される 『な、何すんですか!』 と、口元を拭いながらいう 「あんたが買ったフランクフルト。返してやっただけだけど」 『なら普通に返してよ!』 「え、っろ」 と、日向が口にするから 睨むと 「ヒ、ヒラコ!今のはなしだろ!」 「なんで?えろくて日向勃っちゃった?童貞だもんね」 「た、っ……てねえし!」 「あ、吹雪は勃っちゃった?」 「平子。やめろ。下品だぞ」 「潤ちゃんは本当に勃ってるけどね」 と、きさきの頭を撫でる先輩 あれ、先輩って 女顔相手には みんな同じようにするんだ 僕だけじゃなかったんだ なんだ、 なんかちょっとがっかり

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