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第24話
『ついたあー!』
と、僕の昔のお家について
ぐぬぬ、と伸びをする
理事長は僕達を下ろすと
帰りの迎えにくる時刻を伝えてさっさと別の所に行ってしまった
理事長は愛人とこれからランデブーらしい。
そのアリバイに僕達の送迎は持ってこいだったようだ
『寝るお部屋は3つあるから、後で部屋割りしようね。みんなでここで寝てもいいけど』
「そんなの御免なんだけど。日向とか絶対寝相悪いじゃん」
「なんだと!オレ意外と寝てる間はピクリとも動かねえからな!」
と、いきなりケンカが勃発した
『とりあえずさー、買い出しいこ!吹雪先輩いこ』
「あぁ、そうだな」
「は?なんで吹雪と2人で行こうとしてるわけ?おれも行きたいんだけど」
と、平子先輩はまた怒った
料理とかするなら
僕と吹雪先輩で行くのがいちばんいいと思ったんだけど
「じゃあジャンケンで決めようぜ!勝ったやつが買い出しで、負けたヤツは掃除と布団の準備」
『うん、じゃあそうしよ』
と、
このおうち、実家の人が掃除してくれてるみたいだけど
さすがにお布団まではきっと干してないから
みんなが寝る分のお布団を干したりと掃除しなきゃ行けないところはある
ジャンケンポン
と、日向の声でジャンケンをし
僕と日向と吹雪先輩が居残りで
平子先輩ときさきが買い出しに行くことになった
『ええ、よりによって』
「なんだ?俺じゃだめか?」
と、きさきが言ってくるから
買ってきて欲しいものをメモに書いて渡す
この2人、顔はいいけど頭悪いツートップなんだよなぁ……ちょっと心配
「紗雪、あの車って運転して良い車?」
と、家の前の駐車場の車を指さす平子先輩
『え、あれ、ここの管理してる親戚の車で使ってもいいとは言ってたけど…免許』
「何歳だと思ってんの、俺の事。持ってるよ、それぐらい」
と、鍵を持ってきさきを連れて行ってしまう平子先輩
そっか、平子先輩、
ダブってるからもう19歳か
だから、もう免許持ってるし…
平子先輩
運転できるんだ、
うわぁ、平子先輩の運転…
きさきうらやましいぃ、
「じゃあ俺ら行ってくるから。欲しいものあったら俺か潤ちゃんにLINEして」
「行ってくる」
『……行ってらっしゃいー』
と、みんなで手を振ってお見送りをした
『よし、僕達はさっさと掃除しちゃお』
「あぁ、その前に。紗雪、平子と何かあったのか?」
『……え。、?』
ええ、ぼくすごく普通にしてた気がするのに
ふぶき先輩にバレるくらい
おかしかったかな
「フブキ…それは」
『えっと、なんにも、ないよ』
「そうか?」
『うん、たいしたことないよ』
「ならいいんだが…平子のやつ急に希咲に鞍替えしたように見えたからな。いきなり下の名前で呼んだり」
『………』
と、僕の中でプツリ、と何かが切れた
「フ、フブキ?それ以上は」
『………だよね?そうだよね!今まで散々僕の事女顔って言ってたのにさ!急にきさきのこと可愛がり始めちゃって!潤ちゃんってなに、』
「ユキ、お、落ち着け?な?」
『だって、今まで散々……』
と、言って虚しくなった
「……ユキ?」
そしてため息が思わず出てしまう
「紗雪?」
『ぼく……平子先輩に振られたんです……』
「振られた!?ユキ、好きだったのか!」
『……それは、まあ、そこそこ』
「そこそこって…えー、ユキは男が好きなのか?」
「…日向、聞き方って物があるだろ」
「いや、だってよ、」
『んんん、男が好きかとかはよくわかんないけど……平子先輩は好きだなって。だから付き合ってたんだけど』
と、そこまで言ったところで気付く
『あ、別にぼくみんなのことちゃんと友達だと思ってるから気にしないで!べつにみんなの裸見てもムラムラとかしないし』
「いや、それはそれで?ちょっとよくわかんねえんだけど」
『なんで?だって日向はぼくの裸みてもムラムラしないでしょ?』
「いや、しねえと思うけど実際見た事ねえからなんとも…」
「昼間からそんな話はやめろ…」
そうだよね、
変な話はやめよ、と
布団を窓際に持って行って広げる
うん、日向ぼっこ見たいで気持ちいい
都内より田舎なぶん
ちょっと涼しいというかカラッとしていて過ごしやすいし
ごろん、とそこに寝転がると日向も隣に寝てきた
「うわ、これ気持ちいいな、寝ちまいそ」
『ねえ、なんかちょっと疲れたしね。ふぶきせんぱいもいっしょに寝よ!』
と、呼ぶと
ため息を吐いて隣に寝てくれた
ううん、なんかいいな、夏休みって
失恋した事とか
うん
もう忘れられそうな気分かな
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