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第25話

「雪、起きろ」 と、揺すられて目を覚ますと 美少女 否 美少女フェイスのきさきが僕の事を揺すっていた 『あれ、僕、いつの間にか寝て……って日向も寝てる』 「帰ってきたら寝てたんだ。吹雪先輩はもうBBQの準備をしているが…」 『え、そうだったんだ。という事は平子先輩も帰ってきてるよね?』 「あぁ、吹雪先輩と一緒に食材の準備をしている。それで俺は雪にBBQの道具の場所を聞きに」 『あー、それ倉庫にあるんだよね。一緒にいこ』 起こして、と手を出すときさきは手を引いて起こしてくれて んんん、と伸びをしてBBQの道具が入っている倉庫の方に向かう 『買い物、場所とか大丈夫だった?』 「あぁ、ナビがあったからな」 『そっか』 「雪はむかし、ここに住んでたのか?」 『うん、なんにもないけどね。ここ』 「そうか?スーパーもあるしいい所だと俺は思ったけどな」 『そう?ありがとう』 こっちだよー、とBBQセットを倉庫から運び出す 『久しぶりに使うから網とか洗ってくるね』 と、きさきに運ぶのを任せて僕は網を洗いにキッチンに向かうと 日向が起きて来た 「寝ちまってた、顔洗ってくる」 『うん、洗面所そっち』 と、日向が顔を洗って僕の元へ帰ってきた 「つかお前俺一人でねてたじゃねえかー。起こしてけよなー」 と、肩を組んでくる 『ごめんごめん。後で起こすつもりだった』 と、言う僕に 日向は体制を変え 背中から覆いかぶさってくる 「お前なんかひんやりして気持ちいいな」 『なに、ひんやりって』 「だって寝てたらあちい、」 と、それなら離れればいいのにとも思う 寝て体温上がりすぎるとか日向子供かよ 「ユキっていっつもいい匂いするよなー」 『え?なに?そう?』 「女みてえ、」 と、すんすんと匂いを嗅いでくる 『え?ひな?なに、寝惚けてんの?』 と、日向はぼくにどんどん体重を掛けてきて 「ユキ、」 と、耳元で囁かれる 『え、ちょ、ひな、た?え?』 耳にかかる日向の息が熱くてゾワゾワしてしまう 『ちょ、だめっ、ぼく、耳ダメだからっ』 「ゆき、あつい、」 と、日向の声が耳に直接入ってくる そして、はぁ、と熱い息が耳をかする 『ひ、ひなた?だめだよ、っ』 と、日向の胸に手を置いて押そうとするのに力が入らなくなってしまう その時 ポタリ、と何か首筋に生暖かい物が落ちる なに、とそこに手を触れると 赤く染まった指 「んん、あちぃ、」 『え?血?なに!』 と、振り返ると 日向の鼻から たり、と赤い液体が垂れている 『日向!鼻血でてる!つか逆上せてんじゃない?』 だからこんな熱いのか!と 日向を座らせて ティッシュを鼻に当てる 「んんん、」 『日向、大丈夫?冷やすものもってくるからおとなしくしときな』 と、とりあえず冷たいタオルで首筋を冷やしてあげる 『日向大丈夫?』 と、隣に座りおでこの汗を拭ってあげる 「んん、はなぢとまった、」 と、唸りながらも少し鼻をかむ 『ちょっと横になってな』 と、膝枕をしてあげると おとなしく横になる日向 おでこに冷えピタを貼ってあげると うぅ、とまた唸って腕で目元を隠す日向 『なに、のぼせたの?日なたで寝てたから?日向なのに?』 「うっせぇ、」 『ちょいおとなしくしときなよ』 「わかったからお前も一緒にいて」 と、なんだか弱ってる日向が珍しくて よしよし、と頭を撫でる 『日向に膝提供してんだから一緒にいるよ』 そういうと日向は ふぅ、と息を吐いた 「おまえさー、」 『ん?なに?』 「なんでヒラコ好きになったんだ?」 『ん、…なに、いきなり聞く?』 目元をかくしてるから 日向がどんな顔してるのかわかんない 「なんで、好きになったんだよ」 『……なんでって、それは、』 よくわかんないけど、 平子先輩は僕のこと、構ってくれるし 色々教えてくれるし 他の人と違う扱いしてきて なんかドキドキしちゃったというか よくわかんないけど 気付いたら先輩にかまって欲しくて仕方なくなってしまったんだ、 先輩に飽きられたくないって これが本当に好きって気持ちかは よくわかんないけど 『平子先輩に、かまって欲しかったから、』 顔を隠す日向の手のひらをこちょこちょ、と擽って避け指せると パチ、と日向と目が合った あれ、 なんちゅう顔してんの、日向 「俺、今までなんも考えたことなかったんだけどよ」 『え?うん、』 「ユキがヒラコの事好きって聞いてなんかすっげえもやもやしてんだけど」 『……え、』 なに、それ やっぱり友達だと思ってたやつが 男の人好きって 嫌だったのかな 「こんなこと、ユキに言っても仕方ねえんだけど」 『……ごめん、日向』 「いや、謝んなよ」 『もう、平子先輩の事好きなのも、辞めるし……だから、大丈夫だから、僕日向の事すっごい大事だから嫌われたくないし』 「え、だ、大事って、」 『ごめん、変な心配かけて』 「…ん?…いや?なんか、違うような?」 『ん?え?な、何が?』 「…いや、ちょっとよくわかんなくなってきた」 よっこいしょ、と日向は起き上がった 『日向?もう大丈夫なの?』 「おう、鼻血も止まったし。冷やしたから治った。BBQしに行こうぜ、ユキ」 『うん、』 と、日向は僕の腕を引いて立たせてくれた ごめん、日向 変な心配させて もう、 平子先輩好きなのもやめるから

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