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第26話
あの後はみんなでBBQをして
明日は早い時間から海に行くから
早めに寝る事にして、
部屋割りは
吹雪先輩ときさき
僕と日向
平子先輩は一人部屋で寝る事になった
僕はみんなで一緒に寝ようって言ったんだけど
平子先輩が嫌だって言ったから
あみだくじをした
『日向おやすみー、明日に備えて今日はしっかり休みなよ。今日逆上せてたんだから』
と、布団を並べて敷いて
電気を消した
日向はすでに布団に入っていて
ぼーっと天井を見ていた
「ユキ、」
『ん?どうした?寝れない?』
「いや、うん、寝れると思うけど、」
『うん、』
「寒くねえか?この部屋」
『今のところ大丈夫』
「そっか、寒くなったら言えよ。エアコン緩めていいし」
『うん、ありがとう』
日向はいつの間にか
僕と反対側を向いていた
僕も寝よ、と
『おやすみ』
と、小さい声で言って肩まで布団を上げた
◇◇
さむい、と
暖を求めてゴソゴソと動くと
不意に温かい
湯たんぽみたいな感じの所を見つけて
ぽかぽかする、気持ちいい、と
それに抱きつくと
何故かそれはするり、と腕から抜けるから
さむい、と更にくっつく
『んん、…きもち、ぃ、い、』
暖かくてきもちいい、
すり、と脚も絡める
しかし、
すごい勢いでそれは僕から離れて
なに、と身体を起こす
「っお、おまえ、っ」
『んん、ん、なに、』
「何って、こっち、俺の布団だろ」
『え、んんん、』
ひなたの、布団?とどうにか目を開けると
日向は起き上がっていて
僕のことを見逃していた
『ごめん、…ぼく、さむくて、んん、』
ねむい、と枕に抱きつく
「ちょ、おい、ユキっ」
『んん、ひなた、いっしょに、ねよ…さむい、』
と、腕を引いて
日向を布団に引きずり込み
再び抱きつく
『ひなたぁ、』
「お、おい、ユキ」
『んん、きもちいぃ、』
よく寝れそう、と再び目を閉じた
んん、なんか太ももにごりごりすんのあたる、
なにこれ、と脚を少しだけ動かす
「っ、ユキっ、」
と、日向の声が耳元で聞こえたと思うと
がばり、と起き上がり
僕の手首を布団に縫いつけた
『んん、なに?』
眠い、もう目がほとんど開かなくてしぱしぱするけど
どうにか開けると
日向が僕の上にいて
ふー、ふー、と息を吐きながら僕の事を見下ろしている
どうしたの、と
眠い目を擦ろうとしても
日向が僕の手首を押さえつけているせいで
擦ることも出来なくて
んんん、と首を横に振る
『んん?なに、ひなた、てくび、いたいよ?』
「ユキ、俺…」
と、日向が僕の事を見た目は
何故かギラついていて
なんだか焦点があっていないような感じ
『日向?なんか、おかしいよ、』
日向のそんな顔、初めて見た
ようやく目が覚めてきて
やだやだ、と首を振ると
日向の顔が
徐々に僕に近づいてくるのがわかる
『ちょ、ひなた、なに?おこったの?…怒ったなら謝るから、』
「…ゆき、」
と、日向が発した
さらに僕に日向の顔が近づいてくるから
僕はきゅっ、と目を閉じてしまった
ぽたり、とほっぺたに生温かいものが落ちる
『え?』
「あ、……血、」
と、日向はすぐに鼻を抑えて起き上がり
僕はようやく自由になって起き上がると
日向がまた鼻血を出したのだとようやく理解した
『ちょ、待ってて!すぐティッシュ取ってくるから!』
と、寝室からバタバタと出ていき
リビングから箱ティッシュを持って日向に渡した
「わ、わるい」
『うん、ごめん、僕が布団入ったから暑くなって逆上せちゃったんだよね。ごめん』
「いや、そ、それは」
『僕、ちょっと顔洗ってくるから日向大人しくしてなよ?あ、部屋、涼しくしていいし!』
と、言い残し
寝室を後にしてキッチンに向かって
顔に落ちてきた日向の鼻血を洗い流す
『ふぅ、』
と、顔を上げて思わずため息を吐いてしまう
なんて言うか、びっくりした
多分、寝ぼけて逆上せての行動だったと思うけど
なんか、逆上せていたせいか
日向の顔は赤いし
目も、ギラギラしてて
なんだか欲情してるみたいな表情したから、
いや、日向が僕相手に欲情なんてしないのわかってるけど
手首も抑えられてたし…
なんかちょっとビビってしまった
いや、まさか日向が、
日向は女の子が好きだし
僕が男だってわかってんだから欲情なんてするはずないし……
男子校で、ちょいちょいレイプまがいな事をされるせいでちょっと僕は自意識過剰になっていた
というか、僕なんで日向の顔が近づいて来た時
目閉じたんだろ、
日向にキスされるとおもったのかな、
いや、いやいやいや、
いや、
キスされると思ったのに目閉じちゃうっておかしいでしょ
『あー、あー、いやいや、』
受け入れちゃってんじゃん、日向の事
『あー、』
と、自分の行動に頭を抱えた
その時だ
「……うっさいんだけど」
と、リビングの隣のドアが空いて
平子先輩が出てきた
『ひ、らこ、せんぱい』
「バタバタバタバタうるさいと思ったら叫び出すし」
『さけび、?だれが?』
「お前だよ」
『え!』
「なにやってんの、こんな深夜に」
『あ、ひ、日向が、鼻血出しちゃって、ティッシュ取りにきたり、顔洗ったり、』
「……これだから童貞は」
『は?』
「それよりこれ以上騒いだら怒るけど」
『もう、おこってる、んじゃ』
「怒ってるけど?」
『……ひらこせんぱいのおへや、何度設定ですか?』
「部屋?27度だけど?」
『ぼくも、そっち来ていいですか?』
「は?やだよ、なんで」
『日向と、同じ部屋で、僕寒かったら、日向は逆上せて鼻血だしたから、』
理由を説明すると
先輩はため息を吐いた
そして、
「……勝手にすれば?元はと言えばあんたの家だし」
と、許可を貰えたので
先輩のお部屋に移動することにした
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