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第32話
オメガとしてうまれたことは、はっきり言って最悪だ。うまれ直せるのなら、絶対この人生は選ばない。でももうこうなってしまった以上、与えられた環境で何とかやるしかない。しようがないと思ったものは受け入れるし、受け入れた以上、文句は言わない。けれど、いつまでもぐずぐずと受け入れられないオメガがいるのも事実で、そういうオメガが他人の芝生ばっかり見て「あいつとは違うから」と言っているのを聞くと、クソアルファに対して以上の衝動で殴り飛ばしたくなる。
朱莉が『分かる』と言った理由を彼が知りたがっているのが分かったが、あえて何も言わずに、ポスターを持って車を降りた。
何回かやったように広げ……しかし慌てていたせいか手を滑らせ、落とした拍子に指先を切ってしまう。
「痛っ……」
「大丈夫ですかっ?」
駆け寄られてしまったので、傷口を隠すように口にふくんだ、その手首をつかまれてしまう。
「駄目ですよ、雑菌が入ってしまいます。ちょっと待っててください、ウェットティッシュありますから」
彼が持って来たウェットティッシュはアルコール入りで、傷口が染みた。
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