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第115話

「って、何の」 「十月に行われる、咲田市議会の補欠選挙です」 「ほけつせんきょ……」 「母が辞めたことにより欠員となったので」  これは説明してもらって助かった。が、しかし…… 「それ言うの今?」 「すみません。何か今じゃないと言えないような気がして。というかその話をいただいてからついさっきまで、実は決めあぐねていたんです。でも朱莉さんの顔を見たら、覚悟が決まりました。当選するかどうか、というのは二の次で、とりあえず、訴えてみようと。自分たちと同じようなことで苦しんでいるひとも、きっといると思うんです。そういうひとに伝わればいいなと思って」 「馬鹿」  どん、と、肩を突いていた。 「当選するかどうか、なんて弱気なこと言ってんじゃねーよ。出るんなら当選するつもりで出ろ」

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