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嘘つきの真実2
「とにかくこれからも必要以上に和希には関わるな。いいな?」
「はいはい。分かりましたよ。でもさ、どうなんだろうね?物語だったらこれでめでたし、めでたし。ってなるのかもしれないけど、現実はそう上手くいくかなあ?」
「何が言いたい」
「別に。もっと扱いやすいタイプを選んだ方が、唯人とっては良かったんじゃないかと思っただけ。じゃあね、お大事に。見舞いには行かないから」
唯人は通話が切れたスマホを憮然とした表情で見つめた。
何も分かっていないくせに、と唯人は心の中で幼馴染を罵った。
ようやくここまできたんだ。
多少卑怯な手は使ったが、もう二度と離さない。
唯人の意識は過去へと飛んだ。
小学生の唯人が友達の家から帰宅すると、珍しく母親がリビングで座っていた。
価値のある調度品に囲まれ紅茶を飲む母は、絵画のように美しかった。
「お母さん」
唯人はランドセルも降ろさずに母親に抱きついた。
その瞬間、唯人の母親は綺麗に整えられた眉をつりあげた。
「ちょっと。手も洗わずに私に触らないでちょうだい。せっかく着替えたばかりなのに」
「ごめんなさい。お母さん」
「ああ。スカートに皺ができちゃったじゃない。最低。今日のディナーの前にどこかに寄って新しい服を買わなきゃ。美容院の予約は済んでいるのよね?」
「はい、奥様」
母親の後ろに控えていた秘書が、手帳を見ながら頷く。
「洋服を買われるなら、そろそろ出発しないと間に合わないかもしれません」
「まったく。たまに家に帰ってきても、ゆっくりお茶も飲めないなんてね」
母親は立ち上がると、唯人を睨みつけた。
唯人は俯くと、自分の半ズボンをぎゅっと握った。
慌ただしく母親が出て行く。唯人には行ってきますの一言もなく。
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