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第54第

 俺の後口はきゅうと締まり、まるで唯人が出ていってしまうのを引き留めるようだった。  俺の顔が真っ赤に染まる。 「いや、その」  俺が言葉に詰まると、唯人がぎりぎりまで腰を引く。  一番太いところを引っ掛けたまま、唯人が微笑んだ。 「すごいね。和希のここ、こんなに広がるんだ」   唯人が俺の後口のふちに指先で触れる。 「あっ、やっ」 「やなの?抜く?」  唯人が軽く腰を揺らす。  わざとカリがふちに引っかかるように何度も腰を動かされ、むず痒い快感が俺を襲う。  俺は唯人の硬い胸板を握った拳で力なく叩いた。 「焦らすな、馬鹿。さっさと入れろ」 「仰せのままに」  唯人が一気に腰を進める。  前立腺をごりりと押し上げられ、俺の目の前にちかちかと星が飛んだ。 「あっ、あああ、あっ。うあっ」 「和希の中、すごく柔らかい。奥まで入っちゃうね」  唯人が最奥の壁にぐりぐりと自身を擦りつける。 「あっ、や、そこ」 「痛い?」  俺は涙目で首を振った。 「イイ。気持ちいから。もっと」  唯人がごくりと唾を飲む音が聞こえた。  俺の腰を痛いほどの力で掴み、ガツガツと奥を狙って唯人が腰を振りたくる。 「あっ、だめ。イイ。イイッ。イク、イク、いっちゃ、ああ」  俺は唯人の逞しい腰に両足を巻き付けた。  唯人との間で俺の屹立が擦られ、堪らない快感をうむ。 「和希、だすよ」  唯人が俺の頬にキスを落とし、囁く。 「んんんっ、あっ」  唯人が中で熱を撒き、馴染ませるように緩く腰を動かす。 「あっ……、ああ、んっ」  生理的に零れた俺の涙を唯人が舐めとり、軽くキスをした。 「和希、すっごく可愛かった」  唯人が自身を引き抜き、満面の笑みを浮かべる。  疲れ切った俺は、唯人の言葉にただ小さく頷いた。  唯人は俺を自分の膝に乗せると、こめかみにキスを落とした。 「本当に最高だった。和希、ありがとう。愛してる」  唯人の熱に浮かされたような言葉たちは俺の耳を素通りしていく。  俺は枕元にあった自分のスマホを手に取ると、明日の予定を確認し始めた。  唯人はそれが気に食わないのか、俺の乳首を乱暴に引っ張り、耳たぶを齧った。 「痛っ」  俺が睨みつけると、唯人はにっこりと笑った。

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