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第71話

 学校の前に止めてあった車の後部座席に、唯人が俺を降ろす。  唯人はポケットから取り出した錠剤を、俺に口移しで飲ませた。  ペットボトルの水も口に含み、俺に何度も口づけて飲ませる。 「効くまで少しかかる」  唯人が俺の汗ばんだ前髪をそっと撫でる。  俺は唯人の唇を求め、唯人の体に抱きついた。  唯人が口づけの合間に、運転席に指示を飛ばす。 「住友。俺のマンションまでやってくれ。あと明日の仕事は休む」 「かしこまりました」  車は滑らかに走り出した。  俺は唯人の昂ぶりを握り、スーツのスラックスを脱がそうとした。  唯人がそんな俺の手を止める。  俺はつい恨みがましい視線を唯人にむけてしまう。 「ここじゃだめだ。和希の感じてる可愛い声を誰にも聞かせたくない」 「でも、我慢できない」  眉を寄せ、涙目で言うと唯人がごくりと唾を飲んだ。 「和希、キスして」  俺は唯人に口づけた。  唯人は俺の口を己の唇で覆うようにキスをしながら、俺の下半身を裸にした。  屹立を強めに扱かれ、俺は背をしならせた。 「あっ、ああ」  口づけが解かれ、唯人が軽く俺を睨む。 「こら。声出しちゃダメだろ」  そう言ってまた俺の唇を奪った。  唯人がゆっくりと俺の中に指を埋める。  俺はもっととせがむように、腰を振った。  唯人の指が三本まで増やされ、内側の敏感な部分をぐりっと抉られる。  声にならない絶叫は、唯人の口内に全て吸い込まれた。  目の前で星が飛び、俺の屹立からどっと白濁が漏れる。  それでもまだ俺の体は火照ったままだった。  熱をどうにかして欲しくて、俺は強く唯人に抱きつく。  ブレーキ音が聞こえ、車体の揺れが止まった。  車は唯人の家の地下駐車場に着いたようだった。  唯人は俺の服装を簡単に整えると、俺を抱きあげ、車から降りた。 「仕事の件で何かあれば、自宅のパソコンにメールしてくれ」 「かしこまりました」  唯人はそのままエレベーターにむかった。

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