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第72話

 俺は唯人のスーツの襟をぎゅっと掴んで、熱の籠った息を吐いた。  唯人がそんな俺の鼻先を軽く噛むと、深い口づけをした。  エレベーターの中でもそのままキスを繰り返していると、俺の体はまたどんどん昂っていった。  先ほど中途半端に弄られた後口が収縮する。  唯人がTシャツの上から俺の尖った乳首を探り当て、強く爪の先ではじいただけで、俺は軽くイってしまった。  唯人が玄関を開け、俺を降ろした瞬間、俺は唯人に縋りついた。  唯人も俺の体を強い力で抱きしめると、貪るように俺に口づけた。  お互いの衣服を忙しなく脱がし合う。  唯人がいきなり俺の鎖骨に齧りついた。 「ひゃっ」   唯人の顔を見ると、その瞳には隠しようもない欲望がちらついていた。 「早く和希の中に入りたい」  その言葉で俺の腰が砕けた。  唯人はふにゃふにゃになった俺の体を抱き上げ、ベッドルームに運んだ。  お互い裸になると、俺は唯人の逞しい首に抱きつく。 「お願いっ。もう欲しいっ」 「分かったから。ちょっと体離して」  俺がぶんぶんと首を振ると、唯人がため息をついた。  唯人の硬い胸板に自分の勃っている乳首を押し当て、勝手に扱く。  それだけで頭が真っ白になるくらいの快感が背筋を通り抜けた。  唯人は俺を抱きしめたまま仰向けに寝ころぶと、いきなり指を後口に三本突き入れた。 「ああっ」  見つけだした俺の前立腺を強く唯人が擦る。 「いっ、イク。ああっ、あんっあんっっ」  俺は唯人の体の上で腰を躍らせた。  唯人の八つに割れた腹筋の上に薄い白濁を撒く。  荒れた息を吐く俺を休ませず、唯人は指を引き抜くと己の熱を後口に当てた。  俺が息を飲むと同時に、それが突き入れられる。 「あああああっ、あっ、あんっ」  欲しがっていたものがやっと与えられ、俺が満足の息を吐こうとしたところで唯人が腰を突き上げる。 「あんっ。すごいっ。大っきい」  思考が「気持ちイイ」に塗りつぶされる。  俺が喘ぐ度、中の唯人が大きくなった。  唯人が上半身を起こすと、俺の首筋に噛みついた。  俺の体からぶわりと濃密な林檎の匂いが溢れだす。  唯人はその香りに目を細めると、俺の尻を両手で鷲掴みにした。 「この香りが俺を狂わせる」  唯人が自分の腰を強く打ちつけた。   「やっ、あああっあっ」  内臓を突き破る勢いで犯され、ありえない場所に唯人の熱を感じた。  びゅくびゅくと白濁を吐き出し続ける自身が治まったところで引き抜き、唯人が俺の体をひっくり返す。  まだ息の整わない俺の耳元に唯人が唇を寄せた。 「入れたことないくらいの奥でだしたから、ザーメン垂れてこないな」  唯人が俺の股を開かせると、内ももを指でつぅっとなぞる。  俺はその感触に感じてしまい、体を震わせた。  唯人が俺の後口に己の熱を頭だけ潜り込ませる。 「なあ、また奥でだしていい?」   俺は唯人の唇をぺろりと舐めた。 「もっと、たくさんだして。溢れるくらい」  唯人の瞳が欲望に濡れ、尖りきった俺の乳首を引っ張ると、乱暴に腰を突き入れた。 「ああっ」  ハクハクと息を逃す俺の頬を唯人が舐める。 「今夜は寝かせてやれそうにない」  俺はその言葉を聞いてうっとりと微笑んだ。

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