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嗜虐と恍惚と、屈辱と 10

そんなことを考えている珀英に、緋音は冷たく言い放つ。 「謝ったくらいで許されると思ってんの?」 至近距離での、冷たい瞳と、冷たい口調。少し愉しそうに口唇の端に笑みを浮かべて、緋音は足に力を入れて珀英の肩を押す。 緋音は不意に体を起こして、ソファに体を預けるくらい寄りかかって、珀英と距離をとりつつ、珀英のたくましい肩を強く踏みつけて、真っ白な美脚をこれ見よがしに見せつけて、珀英がいやらしく色んなところを見ているのを確認して。 緋音は深紅の口唇を、ぺろりと舐めた。 「・・・オレのこと欲しいんだろ?」 愉しそうに微笑む緋音。白くて細い首を、少し傾(かし)げて珀英を値踏みするように見る。 「はい・・・」 珀英は何も考えられず、素直に一言だけ返す。 「だったら、どうすればいいかわかるだろ?」 「はい・・・」 緋音は右足を肩から離すと、珀英の鼻先に持っていく。 「舐めろ」 艶(あで)やかな少し高めの声。小さな声なのに、圧倒的で逆らえない。 珀英は堪(こら)えきれず、抗(あらが)える訳もなく、爪の先まで奇麗で歪みのない緋音の脚にそっと触れる。 足の裏をそっと持って、爪先から口吻けて、足の甲に舌を這わせる。足首の方まで丁寧に舐める。 緋音は珀英が本当に舐めるとは思ってもいなかった・・・いや、舐めるだろうと思っていた・・・いや・・・舐めて欲しかった。 珀英の長い指が、壊れものを扱うように自分の足を持ち、長い熱い舌が足を這う感触に、少しづつ興奮してくるのがわかった。 ぬめぬめした感触が、気持ち悪くもあり、いやらしくて。 思いがけず気持ち良くなってくる。 珀英は丹念に足の甲を舐めてから、おもむろに親指と人差し指の間に舌を入れる。そして緋音の親指を口に含んだ。 緋音は腰に電流が走ったように、甘く痺(しび)れるような快楽が突き抜けて少し驚く。珀英の舌が指の根元からねっとりと舐め上げる。 「・・・珀英・・・ちょっと待て・・・」 珀英はチラッと一瞬だけ緋音と視線を合わせる。 頬が紅潮して、息が少しづつ上がっていて、大きな瞳が潤んで熱を帯びている。細い首筋も滑らかな胸元も、白い肌が桜色に染まっていく。 珀英は緋音を視線で犯すように、上から下まで全部を見つめる。そして緋音の小さな足の指を、全部くまなく舐め尽くす。飴(あめ)を舐めるように舌で転がすように、アイスを舐めるようにねっとりとしつこく、舐める。

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