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第60話
映画が終わり、テレビを消す。
面白かった。多分二回目を見た時も楽しめるだろうな。
ふわふわ欠伸を零すと、凪さんが「疲れた?」と聞いてくるから首を横に振って否定する。
「ちょっと眠たくなっただけです。」
「そう。それにしてもこれ、面白いね。シリーズあるのかな。」
「よかった。凪さんも楽しめたみたいで……」
眠気に対して我慢できず、ソファーに寝転ぼうとすると、凪さんの手が伸びてきて彼の膝に頭を乗せるように導かれる。
「少し昼寝しよう。」
「……眠たい」
彼は頷きながら、俺の目元を大きな手で覆う。
視界が暗くなり、大人しく目を閉じるともうあっという間に眠りに落ちそうだ。
「凪さん……」
「ん?」
「面白かった……?」
「うん。そう言えば感想聞くって言ってたね。」
「ふふっ、起きたら、聞きますからね。」
「それまでに感想をまとめておくよ」
それを聞いてから眠りに落ちた。
***
まだ寝ていたい。でも起きないと。
そう思いながら目を開けるとソファーに一人で眠っていた。
凪さんは……?膝枕、してくれていたのに。
体を起こしてリビングを見渡しても彼は居ない。
どこに行ったんだ。
体にかけられていたタオルケットを畳み、彼が居ないかとトイレやお風呂場を覗く。そこには居なくて仕事部屋にしてる彼の私室のドアをコンコンとノックした。
「……いないの?」
返事が無くて、ドアを開け中を覗き込む。
うん。いない。
すぐにドアを閉め、スマートフォンを探して見つけたそれを手に取る。
何の連絡も来ていない。
本当にどこに行ったんだろう。
少しの昼寝の後、起きたら彼がいないだなんて……急激に不安になる。
胸がキューッと締め付けられるような感覚。
「電話……迷惑かな。どうしよう……」
スマートフォンを握りしめてグルグルと悩む。
仕事で呼び出されたとか?
もしそうなら電話をしたら迷惑だろうな。
「う……どうしよう……凪さん……」
外に行ったのはどれくらい前だろう?
俺が眠ってからどれくらい経った?
外に行けば、凪さんがいるかもしれない。
軽く身なりを整えて部屋を出る。
マンションのエントランスを抜けて、外に出ると日差しが強かった。
暑い。眩しい。
会社の方面に向かえば会えるだろうか。
悩んで結局、その方向に足を向けた。
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