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第73話

体が軋むように痛い。 でもそれすら幸せで、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる彼にひたすらに甘えてしまう。 「凪さん、ねえねえ、こっち座ってください。」 「うん。どうしたの?」 ベッドに寝転がる俺の隣に腰を下ろした彼は、俺の体を撫でて「辛い?」と聞いてくる。 「ううん。大丈夫。でも動くのはまだ無理です」 「しばらくはゆっくりしていて。」 「はい。……凪さんから優しい匂いがして落ち着く……」 「まだフェロモン残ってる?」 「ちょっとだけ」 彼の腰に腕を回して、彼の膝に頭を乗せる。 髪を梳かれ、うっとりしてしまう。 「凪さん、好き。」 「俺もだよ」 「……番になりましたね」 「うん。幸せだ」 「ふふっ、俺も。」 凪さんは微笑んで俺を軽く抱きしめると、そのまま何度もキスをしてきて擽ったい気持ちになった。 「明日は仕事に行ってくるけど、真樹は朝の体調次第だね。番になったからフェロモンは他の人にはわからないけど、俺が影響されてしまうから。」 「……凪さんの邪魔になりますもんね」 「邪魔じゃなくて、俺が真樹を好きすぎるんだよ。そのせいで仕事が捗らないなんて情けないところ見られたくないしね。」 好きすぎるだなんて、嬉しい。 彼に擦り寄りもっと撫でてほしくて手を取り、頭に導くと俺が望んだ通りにしてくれる。 彼にくっついていると体も心も満たされて、欲深くなってしまう。もっと彼を知りたいし、俺の知らない彼に触れてみたい。 「凪さん……俺、凪さんのご両親に会いたいです。」 「え」 「ダメですか……?」 「それは嬉しいけど……」 苦い顔をする彼。もしかして急ぎすぎたかな。 番になってすぐに言うべきではなかったか。 「けど、何ですか……?前に番になるまで会わせないって言ってたけど、番になりましたよ……?」 「うん。そうなんだけど、真樹が何か焦ってそう言っているなら、会ってもらうのはもう少しあとがいいかなって思って。」 「焦る?いや、俺はただ……あの、俺って思っていた以上に欲深いみたいなんです。凪さんが番になってくれたから、もっと凪さんのことを知りたくて……。凪さんのことを誰よりも知ってるのはご両親でしょう?お話聞きたいなって……勝手に……。」 「……可愛い」 「え……っん!?」 突然キスをされ、それが思ったよりも激しくて吃驚してしまう。 待って、待って!息ができない!

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