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第114話

凪さんが言っていた通り、食事を終えてお風呂に入った。 水分をとり、眠る準備をしてベッドに行くと隣に寝転んだ彼が今日あったことを話してくれる。 「そう言えば、前に俺の両親に会いたいって言ってくれてただろ。予定を立てようと思ったんだけど、やっぱり全部終わってからにしてもいいかな。」 「はい。スッキリさせてから、会いたいです。」 「よかった」 腰を抱かれ、体が密着する。 顔を上げると唇が重なった。 「一人でいるのは退屈?」 「いえ、仕事があるし、そんなことはないです。」 「……ご飯を忘れるほど仕事に集中するのはどうかと思うけど」 「明日からは適度に頑張るので」 「中林さんに怒られるから、程々にね。」 手が下りていきお尻に触れる大きな手。手の甲を抓ると離れていった。 「スケベ」 「こめんなさい」 「昨日もしたでしょ?もしあれなら……抜いてあげる、けど……」 「ううん、大丈夫。」 ぎゅっと抱きしめられ、背中をポンポンと撫でられる。 さっきまで眠っていたから眠れないだろうなと思っていたのに、急に目がとろんとしてくる。 彼の胸に顔を埋めて、深呼吸をすると瞼が完全に閉じた。 *** 睨みつけてくる目。 恨みの篭った目が嫌いだ。 土下座をする大人二人は、彼の頭を押さえつけて同じような体勢をとらせると、床に額を擦り付けた。 彼は、両親に愛されていたんだなと思う。 オメガだけど、大切に育てられたんだなと。 俺なんて……俺なんて、こんななのに。 両親とは疎遠になり、今はオメガだと同級生にバレたことで身を隠すような生活を送っている。 唯一大切にしてくれる凪さんが居なければ、きっともう生きていなかった。 あの子は、まだ俺を恨んでいるだろうか。 オメガになってわかる。 発情期の辛さも、あれは本人の意思で誘惑しているわけじゃなかったってことも。 罪悪感が胸の中で膨らんでいく。

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