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第155話
凪さんの用意してくれたご飯を食べて、午後からは文字通りゆっくり、ゆったり、ゴロゴロと過ごすことにした。
珍しく、彼もずっと俺の隣にいて、一緒に映画を見ている。
凪さんにもたれ掛かると、腰を抱かれて引き寄せられる。顔をあげて頬にチュッとキスをして、また画面に視線を戻した。
洋画を見ているとよくあるのは、過激にすら思える行為のシーン。
ちょうどそれが流れて、気まずくなって画面から顔を逸らす。
けれどやっぱり吐息や衣擦れの音は聞こえてくるわけで、どうしても恥ずかしくて、凪さんの手をぎゅっと握った。
凪さんは俺の気持ちを察してくれたみたいだ。
くすくす笑って頭を撫でてくる。
そしてリモコンに手を伸ばし早送りしてくれるのかと思いきや、テレビを消して、唐突にキスをしてきた。
「んっ!」
「顔が真っ赤になってる。」
「は、だって……何で、あんなに過激なの……」
「過激?普段の俺達の方が過激な事してると思うけど。」
「そ、そういうことじゃなくて……」
見つめ合って、どちらからともなく、また唇を合わせる。
舌を絡ませ、送られてきた唾液を飲み込むと、甘くて熱に浮かされたようにふわふわする。
「ぁ、ダメ。もうストップ」
「どうして」
「ダメ、今日はゆっくり過ごすって決めたから……」
「……そうだな。じゃあほら、寝転んで。」
ソファーに横になり、凪さんの膝に頭を乗せる。
彼の手を取って握り、その手を自分の頬に擦り付けた。
「夜は、その……ストップしなくてもいいからね。」
「いいの?止まってって言われても止めないよ」
「苦しいことと痛いことをしないならいいよ」
「そんなことしないよ。でも、今日はやっぱり止めておこう。この痣が治ってからにしよう。」
「……うん、そうだね。そっちの方が凪さんに集中できる。」
寝返りを打って凪さんのお腹の方に顔を向ける。
「夜ご飯は何にしようかな。真樹は何が食べたい?」
「さっき昼ご飯食べたばっかりだよ。」
「そうだよな。……パスタが食べたい」
「パスタならホワイトクリームがいいな」
「じゃあ、ほうれん草とベーコンもあるし、それにしよう。」
ふわふわ欠伸を零しながら頷く。
凪さんは頬を撫でていた手を俺の髪に移動させて、優しく髪を梳いてくれた。
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