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第169話

*** 時間は経ち、週末、凪さんと家で休んでいると、突然来客があった。 インターホンを見て「嘘だろ……」と零した凪さんは、俺を見て申し訳なさそうな表情をする。 「何?誰が来たの?」 「……うちの親」 「えっ!?」 驚いている間に玄関に向かった彼。 慌ててお茶を用意しようとキッチンに向かう。 「お、俺の息子!久しぶり!」 「痛ッ……叩くなよ」 「あ、ごめん。久しぶりで加減を忘れた」 初めて聞く声が聞こえて緊張する。 珈琲にしよう。お茶よりきっとそっちの方がいい。 ドリップコーヒーバックを出してお湯を沸かしていると、三人分の足音が聞こえた。 慌てて廊下の方に行くと、凪さんと、二人の男性がいた。 どうして男性が二人?と思ったけれど、前に凪さんと話したことを思い出す。 そういえば彼は以前、母親がオメガ性だと言っていた。オメガであれば、男性も女性も関係なく子供を産むことができる。 「こちらが俺の番の堂山真樹さん。同じ会社で俺の秘書をしてもらってる。」 「は、はじめまして。堂山真樹です。」 勢い良く頭を下げる。 「真樹、こっちが俺の母さん。で、こっちが親父。親父は何度か見てるから知ってると思う」 「はじめまして。凪の母親の(あきら)です。凪から聞いてはいたんだけど……、色々大変だったって。同じ性別だから悩みがあったら遠慮なく言ってね。」 丙さんは凪さんに似た柔らかい雰囲気でそう言ってくれた。 お礼を言い、また頭を下げると、肩をぽんと叩かれる。 「はじめまして。父親の信英です。今日は突然すまないね。丙が凪と君に会いに行くって執拗くて」 「凪に会うのは久しぶりだから仕方ない!連絡は取ってたけどね。それに話に聞いていた真樹君に会ってみたかった。」 このまま立ち話をするのも申し訳ないので、ソファーに案内して座ってもらった。 キッチンに戻り、すぐに珈琲を入れて運ぶ。 「式はいつ挙げる?場所は?オススメはハワイだけど、国内がいい?」 「母さん、気が早い。まだその事について真樹と話せてない。」 「あ、そうなんだ。」 丙さんは結構、グイグイといくタイプらしい。 式というワードが出て、少し照れくさいけど気にせずにそっと珈琲を出した。

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