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第178話

それから一週間経った日の朝。 何度も来る発情期の波。終わった頃には体はもうヘトヘトで、彼もさすがに疲れたのか、隣に寝転んだまま動かない。 「大丈夫?」 体を凪さんの方に向けて、そっと手を伸ばし頬に触れる。 優しく撫でると、閉じていた目を開けて小さく微笑んだ。 「大丈夫。真樹は?」 「俺も。……でも多分、これからは大丈夫じゃない。」 「え、どういうこと?」 一度視線を逸らして、再び合わせると凪さんは少し不安そうな表情をしていた。 「多分、発情期だったし、中に出したから、子供できる。」 「……ちゃんと相談しなくてごめんね」 「ううん。俺は嬉しいんだけど……ほら、凪さん正気じゃなかったでしょ?だから本当に子供ができたら嫌になるんじゃないかって、思って……。」 「嫌になるわけないだろ。真樹と、真樹との子供がいる生活なんて……これ以上の幸せはないよ。」 キスをされて、抱きしめられると、彼の言葉がストンと胸に落ちてきて、「そっか」と呟きながらも自然と笑みが顔に浮かんだ。 「俺も凪さんとの子供、凄く嬉しい。まだ分からないけど、本当に子供がお腹にいるなら、早く生まれてきてほしいな。」 そう言って、彼の腕の中で幸せを噛み締める。 「真樹、愛してるよ。」 「ふふっ、俺も。愛してるよ、凪さん。」 気がつけば二人とも、そのまま眠りに落ちていた。 目が覚めたのは夕方頃で、先に起きていた凪さんがお風呂を沸かしご飯を準備してくれていた。 俺もやっと体を起こして、痛む体に鞭を打ってお風呂に入る。 ゆったりとお湯に浸かり、また眠りそうになったところで凪さんのお迎えが来た。 体を拭かれ、リビングに連れられて食事を摂る。 「真樹は疲れてると湯舟で寝るから、やっぱりこれからも一人で入らせるのはやめた方がいいな。」 「だって、気持ちいいし……。」 「溺れるかもしれないだろ。湯舟で寝るな」 「……はーい」 怒られた。 凪さん作のビーフシチューにスプーンを突っ込んで、唇を尖らせる。 拗ねましたというアピールだ。 「怒らなくてもいいじゃん。疲れてたら寝ちゃうよ。だって一週間ずっとセックスしっぱなしなんだよ?凪さん激しいし、死ぬかと思った。……まあ気持ちよかったからいいんだけど」 「……」 スプーンですくったそれをズズっと啜る。 じとっと凪さんを見れば、俺から視線を逸らして、申し訳なさそうな表情をしていた。 「確かに、俺が悪かった。俺が初めから一緒に入れば良かった話だ。」 「うん」 「真樹を疲れさせたのは俺だし……。真樹は善がってたけど」 「あ、そういうこと言う」 「もっとしてって強請られて、してしまうのは仕方がないとは思うけど。……だって可愛い。泣きながらそんなこと言われて、何もしない男はいないだろ。」 「ちょ、っと……凪さん、それ以上はダメ。」 「……お互い様だな」 「うん。おあいこです」 その後も静かに食事をしていたけれど、変な言い合いをしてしまったことに思わず笑ってしまって、凪さんも俺につられるように笑っていた。

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