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side 怜
彼女との行為を思い出しながら、ソファーに横になります。さすがの私も、疲れ果ててしまいました。
毎日はとても無理だと思いますが、月に数回なら…なんて考えてみたりします。さくちゃんが言う通り、私は『エロ吸血鬼』なのでしょう…。
「なぁ、怜?」
ソファーの上でウトウトし始めた頃、寝室のドアが開いて、さくちゃんが顔を出しました。
「どうしたんですか? 眠れないのですか?」
私がそう聞くと、さくちゃんはしばらく黙っていました。
「違う…怜が居るか…不安だった」
ポツンポツンとさくちゃんが話し始めました。
「大丈夫ですよ。ちゃんと居ますから」
そう答えると、さくちゃんが「良かった」と呟きました。
「…なぁ…あのさ…えっと…」
さくちゃんはそこまで言った後、しばらく黙ったままでした。
「はい、何でしょう?」
「今日はさ…」
さくちゃんが恥かしそうに、小さな声で続けました。
「…・一緒に寝てくれない?」
さくちゃんのその姿が、あまりにも可愛らしく思え、私はすぐに返事をしました。
「はいはい。良いですよ」
きっと、とても不安だったのでしょうね。さくちゃんに悪い事してしまいました…。
寝室に入り、さくちゃんベッドにお邪魔しました。ベッドは、セミダブルなので、あまり広くはありませんが、仕方ないでしょう。
さくちゃんの隣に横になると、不思議なほどの安らぎを感じました。遠い過去に過ごした、家族との日々を微かに思い出すようです。
「あのさ、…・何もしなくて、良いんだからな」
そんなこと言ってきたさくちゃんに、私は思わず笑ってしまいました。
「安心してください。何もするつもり、ありませんから」
私の言葉に、さくちゃんは照れたような、怒ったような顔を向けて「あたりまえだろ」と言ってから、背を向けてしまいました。
「あ、そうだ」
しばらくすると、さくちゃんの声がまた聞こえました。
「あのさ、もう、寒くなってきたから、夜寝る時、ベッド使って良いよ。俺…夜は居ないし。でも、休みの時はどうするかな…? まあ、いいか。こうやって一緒に寝てやるよ。布団とか買うの勿体無いからな。どうせ、医者に診てもらったら、お前がここに居る理由、無くなるんだし…」
少し寒くなってきたので、ベッドを使って良いと言ってくれたさくちゃんの言葉が、とてもありがたく感じました。
ですが……さくちゃんの言った最後の方の言葉には、胸が痛みました。そうです、お医者様に診て頂いたら、私がここに居る理由は無くなってしまうのです。
それは最初からわかっていた事。所詮、私は吸血鬼、さくちゃんは人間、そして、私と同じ男性なのですから…。
「ありがとうございます。そうさせて頂きますね」
私が答えると、さくちゃんは小さい声で「うん」と言いました。
「おやすみ、怜」
「おやすみなさい。さくちゃん」
疲れていたので、すぐに眠りに落ちそうになっていると、背中の方からさくちゃんの私を呼ぶ声が聞こえました。
「怜、…あのさ…今日の女って、どんな奴?」
背中を向けたまま、さくちゃんが聞いてきました。
「え…? そうですねぇ、私の上を行く、エロOLさんって言うんでしょうか…そんな感じです」
私が答えると、さくちゃんの舌打ちが聞こえました。
「何だよ、それ…羨ましいよな」
「でも、大変でしたよ…」
正直な気持ちを言うと、さくちゃんの大きなため息が聞こえました。
「もう良いって。聞きたくねーから」
でも、その後すぐに、『俺もエロい姉ちゃんとやりてーよなー』って呟きが聞こえてきました。
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