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side さくら  怜の存在をすぐ傍に感じながら、眠りに付く。温かくていい気持ち…。 眠りに引き込まれる間際に、頬に柔らかいのもが触れた。優しくて愛しい気持ちに包まれながら、俺は穏やかな眠りについた。  どのくらいの時間が経っただろう? 手首に鈍い痛みを感じて目が覚めた。  痛みのある手首を目の前に出して見ると、包帯がかなり広範囲にわたって赤く滲んでいる。 そんなに深い傷では無かったから、すぐに血は止まると思っていたのに…。 「怜?」  怜を呼んだけれど、家の中は静まりかえったままだった。 重い体を起こし、ソファーに掴まりながら立ち上がった。何でも1人やって来たんだからと思うと、ちゃんと動けるものだ。  俺は包帯を取り替えようと思い、テーブルの上から救急箱を取ってきた。  床に座って左手首の包帯をはずしていると、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。 しばらくすると、買い物袋の擦れる音と、怜の足音が近づいて来た。怜が帰ってきた…そう思っただけで、安心している自分に気づき、俺は自分が怜に依存しきっているんだというゆことを改めて実感した。 「怜、お帰り。買い物に行ってたの?」 「えぇ、明日は家でゆっくりしようかと思って、今日のうちに買い物を済ませてきたんです」  明日一緒に家に居られると思った途端、嬉しいからなのか胸がドキドキしてきた。だけど、俺はその気持ちを抑え込んだ。 「そっか」 「さくちゃん! どうしたんですか」  怜が買い物を床に置いて、俺の横に屈み込んだ。怜が俺の手首を見て驚いている。 「…痛くて目が覚めたら、こんなになってたんだ」 「今すぐ、取り替えますから」 「良いよ…自分でやるから。怜は買い物してきたもの片付けてて」 「…そうですか?」  怜があっさり俺の言葉に従った。自分で言ったことなのに、寂しい気持ちが湧き上がった。 俺の感情は、すでにコントロール不能になってしまってるのだろうか?  包帯を全部外し、傷口に当ててあるガーゼも外した。消毒液を付けたティッシュで血を拭き取ろうとしたら、消毒液がしみて思わず声が出た。 その後、化膿止めを付けて、新しいガーゼを当てた。  次にガーゼを固定しようと思ってテープを用意したけれど、思うようにとめる事が出来ない。 「怜…ごめん。やっぱり手伝って」 「わかりましたよ。今行きます」  俺が呼んだら、怜が嬉しそうな顔をして現われた。 その笑顔、心臓に悪いよな――俺は心の中で呟いた。

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