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side 怜
さくちゃんが寝ている間に、買い物に行くことにしました。
まず、一駅先にある寝具屋さんで、新しいベッドカバー類を買いました。
それから、寝具屋さんの並びにある雑貨屋さんを覗いて、アロマキャンドルを探しました。
アロマが置いてある一角に、アロマキャンドルのコーナーがありました。
何種類かあるアロマキャンドルのうち、香りの効能が書いてある紙をみていると、どうやらカモミールが良いようです。
『鎮静作用があり、中枢神経を鎮静する作用が強いです。その為、外からの刺激をいったん遮断し、感覚を麻痺させる為、大きなショックや悲しみなどに有効です』
今のさくちゃんの精神状態には、これが必要かもしれません――。
このところずっと元気が無かったですし、男に酷いこともされてしまって、かなり参っているようです。
私が触れるのも恐いようで、近寄っただけでも微かに震えているのがわかます。
さくちゃんには、早く元気になってもらいたい。物憂げに俯いているさくちゃんではなく、思ったことを何でも言ってくれる、明るいさくちゃんに戻ってもらいたい…。心の底からそう思いました。
雑貨屋さんを出ると、地元の商店街に戻り、たりなくなった食材や日用品を見ることにしました。思ったよりも荷物が多くなってしまったので、必要最低限の物だけにしましょう。後は平日にまた買いに来れば良いことです――。
いつもの八百屋さんに寄った時、さくちゃんの事を聞かれました。
八百屋のおじいさまは、すっかりさくちゃんのファンになっていて、週に一度さくちゃんに会えるのを楽しみにしていたのです。
「さくらさんは、明日一緒に来るのかい?」
「いえ、さくらは、ちょっと体の調子が良くないので、明日は来られそうもないんです。なので、今日のうちに、私が買い物を済ませてしまおうと思いまして…」
「そうなのかい、残念だなぁ」
おじいさまが、寂しそうな顔をしました。私も残念なんですよ――。
「あら…もしかして…」
がっかりしているおじいさまの横で、おばあちゃまが急に何かを言おうとしました。
「え? 何ですか?」
おばあちゃまに、『又、喧嘩でもしたのかい?』って聞かれるのかと思っていました。
先週さくちゃんの様子が少し変だったからと言って、おばあちゃまがさくちゃんの事を心配していたのでした。どう説明して良いのかわからなかったので、その時は、さくちゃんと喧嘩をしていたのだと話してしまったのです。
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