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side 怜
その日の夜は、さくちゃんが眠るまでベッドのそばにいて、その後、ソファーの所に行って眠ることにしました。薄い上掛け一枚では寒そうなので、服を着込み、弱く暖房をつけたままで眠りました。
翌朝、アラームの音で、目が覚めて起き上がってみると、さくちゃんが布団に包まり、ソファーに寄りかかるようにして眠っている姿を見つけました。
危ないからって言ったのに、仕方の無い人です。私が普通に目覚めたから良かったけれど、また私が血を吸ってしまったら、どうするつもりなんでしょう……。
本当は、小言を言いたい気持ちはありませんでした。
さくちゃんが私を頼ってくれた事が嬉しかったのです。だから思わず、さくちゃんの頬にそっとキスをして、それからしばらく寝顔に見とれていました。
ですが、のんびりしていられない事を思い出し、さくちゃんを起こさないように、そっとソファーから降りると、着替えをして、それから荷物のチェックを済ませました。 その後、さくちゃんを起こし、布団を寝室に片付けます。
さくちゃんは、しばらく寝ぼけたように、その場に座り込んでいました。
「さくちゃん、着替えてくださいね」
私が声を掛けると、我に返ったような顔をして、慌てて立ち上がり、寝室に着替えに行きました。
さくちゃんがここで寝ていた事については、お互い話題にしないようにしました。
昨日念入りに掃除をしましたから、キッチンを汚したくなくて、朝食は近くのコンビニで買ってくることにしました。
朝に2人で買い物に行くことが初めてだったので、嬉しいような照れくさいようなそんな気持ちになりまし。
コンビニでサンドイッチやおにぎりを買って来て2人で食卓を囲みます。
「なつかしいな…最初のころは、いつもコンビニで食いもん買ってたよな。で、お前にはトマトジュース、俺の分はコーヒーってね…」
さくちゃんがそう言ってからミルクのたっぷり入ったコーヒーを一口飲みました。
「そうでしたね…。あの、実は私トマトジュース、本当はそんなに好きじゃなかったんです」
私はツナサンドをパッケージから取り出しながら答えました。
「何だよ、言ってくれよ…。吸血鬼ならトマトジュースかな? って思ってた」
さくちゃんが口を尖らせながら言いました。
「飲んでいるうちに好きになりましたけどね。吸血鬼がトマトジュースって、それは漫画の中の設定ですよ」
私がそう言うと、さくちゃんが「そうだったんだ?!」と言って笑い出しました。
さくちゃんの楽しそうな笑顔が眩しいです――。
「これから又、コンビニの世話になるんだなー」
さくちゃんがシミジミそう言った後、おにぎりを頬張りました。おにぎりにコーヒーが合うのか、ずっと気になっていました――。
「ちゃんと栄養を考えて、食事して下さいね。おにぎりには味噌汁の方が良いと思いますよ。野菜が入っているやつも最近は多くなりましたから」
私がそう言うと「…わかってるよ」と言って、さくちゃんは面倒くさそうに、テレビの方を向いてしまいました。
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