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side 怜  水沼先生のお宅に入ると、ゆかりさんが家の中を案内してくれました。 先生のお宅はログハウスで、家の中もシンプルな木製家具で統一されていて、明るく開放的な雰囲気でした。  階段を上がると廊下を隔てて、左右に6つ位部屋がありました。その中で一番離れた2つの部屋に、さくちゃんと私がお邪魔する事になりました。  部屋に入ると、床に荷物を置いてからベッドに腰掛けました。  私がいつ吸血行動に出るかわからず、2人だけで居るのは危険だからと、別々の部屋に入るようにと言われました。 私もそう思っていたのですが、さくちゃんと私の気持ちが同じだとわかった今、離れていることが、とても寂しく感じました。 「ずっと傍に居たい…」  さっきの、さくちゃんの嬉しそうな顔を思い出し、今すぐにでも、さくちゃんを抱きしめたいと思いました。  荷物の中身をクローゼットに整理してから、ベッドに腰かけ、持ってきていた料理の本を眺めていました。 家に帰ったら、さくちゃんに何を作ってさしあげよう? そんなことを考えていました。  しばらくすると、ゆかりさんが私の部屋に来ました。 「はるかさん、下に来てお茶にしない?」 「えぇ、ありがとうございます」  ゆかりさんの後について、階段を下りてリビングに入っていくと、さくちゃんがソファーに座って居ました。 「怜!」  さくちゃんは私を見つけると、ソファーから立ち上がり駆け寄って来ました。 「さくちゃん」 「さくら…だってば」 「…さくらちゃん…会いたかったです」  さくちゃんが「ついさっきまで一緒だったじゃないか…」って言いながら、顔を赤くしていました。さくちゃんは本当に可愛い人です。 「さぁ、こちらに来て、お茶でもどうぞ。しばらくここで過ごすことになるから、まぁ、自分の家のつもりでくつろいでくれていいわよ」 「ありがとう御座います…。お世話になります。それにしても、部屋がいっぱいあるんですね」 「私ね、人がたくさん居るのって大好きなの。だから、以前、学生さんの下宿をやってた事があるのよ。今はやっていないけどね、時々、昔下宿していた人が家族連れで泊まりに来たりするの」 「へぇ。良いですねそういうの楽しそうで」 「楽しいわよー。でも、今はね、前からやりたかったお花屋さんを駅前でやってるの」 「え、今日、お店は大丈夫なんですか?」 「えぇ。はるかさん達がいる間は、息子に頼んであるから大丈夫なのよ」 「元樹(もとき)君ですね? 彼に会うのも久しぶりです」 「そうよね。あの子、8時頃には帰ってくるから、その時にまた、ゆっくり話しましょうか。今は2人の事を話し合ったらどうかしら。私は向こうのテーブルに居るけど、気にしないでね。本当は2人きりで話したいと思うのだけど…はるかさんが心配だから」 「お気遣い、ありがとう御座います」

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