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side 怜 「…私が血を吸ったせいかもしれないと思っているのですか?」  私もそれは多少危惧している所です――。 「うん…ごめんな。実は、そうなんだ。怪我した頃くらいから、急に怜の事が好きで堪らなくなってさ…。感情をコントロールしようと思うと、気持ちが悪くなってくるんだ…。恥ずかしいんだけど、飛行機の中では怜があの女の人達と話してるのが嫌だったから、具合が悪くなったんじゃないかと思うんだ。…空港でもそうだったし…」 「そうですか…」 「えっとでも、急に…っていうのは違うかな…好きだって自覚してなかったけど、お前と居ると、安心できて、楽しくて、そばに居て欲しいな…ってずっと思っていたから…」  さくちゃんのストレートな告白がとても嬉しくもあり、悲しくもありました。さくちゃんは自分の気持ちが、本心ではないかもしれないと考えているようです。 「…では、治療して頂いた後には、その気持ちも無くなるかもしれないと考えているんですね?」 「そうなんだ…」  さくちゃんが一瞬悲しそうな顔をしました。 「…そうですね…私の気持ちも、そうなのかもしれません」  治療の後、気持ちが離れていたら……悲しいけれど、もしかしたら、その方がいいのかもしれません。 「だから、治療が終わってから、もう一度話し会った方が良いかもしれないって思ってる」 「わかりました」 「でもさ…もし、治療した後も、お前の事好きで、お前も俺の事好きだったら…一緒に暮らしたい、ずっと」 「私も、そう思っています」  手をギュッと握り締めると、さくちゃんが嬉しそうに微笑みました。その笑顔をずっと見つめていたい、そう思いました。  しばらく何も言わないまま、さくちゃんが私を見つめていました。その後、何かを思い出したような顔をすると、 少し悲しそうに話し始めました。 「でもさ、俺、心配なことがあるんだ…お前と暮らすようになるだろ? …お前は月に一度は血が欲しくなるんだよな。でも、俺の血を吸うのはヤバイ…ってなると、女の血を吸いに行く必要があるだろ? 俺、それに絶えられるかな…。血だけだったら、まだ良いけど、女を抱きに行ったら嫌だな…。それに、お前は吸血鬼で、俺よりずっと長生きするんだろ? 俺1人でジジイになったら、お前きっと、俺の事なんて見てくれなくなる…今はまだ良いさ、可愛いとか綺麗とかで愛してくれるかもしれない。だけど年取った俺なんて…あぁ、ダメだ、考えると、気が変になりそう」  さくちゃんが、頭を抱えてしまいました。そんなに先の事まで考えてくれているんですね…。 「さくらちゃん…今、考えるのは止めた方がいいと思いますよ。私が考えてみます。さくらちゃんと暮らせる方法を」

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