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side さくら
「俺はね…怜が好きだよ。俺のこと大切にしてくれるし、一緒にいて安心するんだ。今までにそんな相手居なかったんだよ。同じ部屋にずっといて、邪魔だって思わなかった奴」
俺は正直な気持ちを元樹に話した。
「ふーん…。セックスも上手いしねこの人」
元樹はそれを真剣に聞こうとは思っていないようだ。
「…それは、知らない。俺、怜とセックスしたことないから」
俺がそう言うと、元樹が驚いたような顔をした。
「やっぱホントだったんだ?」
「何が」
「さくらさんとこの人が、まだセックスしてないって事」
「嘘言ってどうするんだよ。お前に嘘つく理由なんてないし」
「…ただ驚いただけ。雨宮遙が一緒に住んでる奴とセックスしないなんて、考えられない」
「俺が男だからじゃない? きっと女だったら、もう遣られてるかもね」
元樹がもう一度、信じられないと言うような表情をした。
「良くわからないな…さくらさんと雨宮さんの関係って」
「わからなくても良いよ。早く先生に治療してもらって、怜と帰るんだ。そこから始まるんだよ。俺たちの生活がね」
「そ…。でもさ、親父に治療してもらったら、雨宮さん、さくらさんの事忘れちゃうかもよ?」
「…そんな事…無いと思う」
「それにさ、さくらさんだって、雨宮さんのこと好きじゃなくなるかもよ?」
優しそうな表情をしながら、酷い事を言ってくる。そんなこと絶対無い…そう思いたいけど。
実際の所は、先生でもはっきりわかっていないようなのだ。怜と話が出来ない今、そのことを考えるのが辛い…。
怜…お前が、俺たちのこれからの生活の事、考えてくれるって言ってたのに…。
「…お前には、そんなこと、言われたくないよ。何でそんな事言うんだよ? 俺、不安で仕方が無いのに。 一体、俺の何が気に食わないんだよ? 怜のことも、どうしてそんなに悪く言うんだよ…」
元樹を睨みつけながらそう言った。元樹は、俺の目を見て、フッと笑いながら優しく肩を抱いてきた。
「ごめん、さくらさん。俺、さくらさんの事、気に入ったんだ。さくらさんが雨宮さんの味方するから、ちょっと苛めたくなった」
「ったく…何なんだよ、それって? あのな、いくら気に入ってくれたって、俺は怜以外のこと考えらんねーからな」
からかわれているいるようで、ムッとしてそう答えると、元樹が俺の頬にパッとキスをした。
「おい…やめろって!」
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