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side 怜
「そう言えば、俺達どのくらい眠ってたのかな?」
さくらちゃんがキッチンのすみにある椅子に腰かけながらそう言いました。
気づいた時には、さくらちゃんに襲われていたので、充電しっぱなしのスマホで日付の確認もしていませんでした。
「先生は、2日間くらい寝ている、と言われてたので、多分そのくらいでしょう」
私がそう言うと、さくらちゃんは冷蔵庫の横に掛けてあるカレンダーを覗き込みました。
「ゆかりさんが、1日の終わりにカレンダーにシールを貼っていたから、今日が何日がわかるはず……えーと、確かあの日は……ん?」
元樹君が小さい時に集めた大量のシールを、最近そうやって消費するようになったんだそうです。私が仮死状態の時にゆかりさんから聞いたのだと、カレンダーをめくったり戻したりしながら、さくらちゃんが話してくれました。
「あれれ?」
何度もカレンダーを見ていたさくらちゃんが、驚いたような声を上げました。
「どうしました、さくらちゃん?」
私は、お湯が沸騰したお鍋にうどんを入れながら聞きました。2日程度の日数を確認するにしては時間がかかったように思っていましたが…。
「怜、俺達2週間寝ていたみたいだよ」
さくらちゃんが少し不安そうに答えました。
「おやおや…結構長かったんですね…」
先生たちも私たちがなかなか起きないので、心配されていたことでしょう――私がそう思っていると…。
「あぁ、どうりで腹の減り具合が尋常じゃないはずだよ」
さくらちゃんがそう言ってお腹の辺りをくるくるとなぜていました。
私は、2日程度で目覚めるはずだったのに、2週間眠り続けてしまったことが、何か問題があるのだろうか、ということが気になっていたのですが、さくらちゃんは、空腹の原因が2週間も寝ていたからだと思ったのですね…。
とてもさくらちゃんらしい発言だったので、私は思わず笑ってしまいました。
「怜、何笑ってるんだよ?」
さくらちゃんは不思議そうに私を見ていました。
「いえ、さくらちゃんらしいなって思って…」
「何だよそれ…。まったく大問題だよ、俺、あの日何も食べないで眠っちゃったんだから!」
おうどんが出来上がると、キッチンの調理台をテーブルの代わりにして、2人で寄り添って頂くことにしました。
「なぁ、怜、これ食べたら、もう一度やろうよ」
さくらちゃんが「もう待てない」というので、玉子を割り入れて熱い出汁をかけただけのうどんになりました。
私としてはこれからの予定を少しでも話し合おうと思っていたのですが――。
「まぁ…それも良いですけど――」
嬉しいような、恥ずかしいような気持でいると、誰かの足音が聞こえてきました。
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