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第26話 だめんず・うぉーくを止めてもいいんじゃない
「――そうかな」
「ああ。こう言っちゃなんだけど、セフレと大差無いように見えた」
「……」
黙り込んだ俺に向かって、馨は今度こそとんでもないことを言い出した。
「まあ、お前は嫌がるだろうけどさ、天花寺彰七段なんてどうだ?」
「はあっ?」
俺はドキリとした。あいつとのあれやこれやは、馨には一切打ち明けていないというのに……。
「どうしてかというとな、この前、お前と彰七段が打ち合わせしてるところを偶然見かけたんだけど、何だかすごく自然に打ち解けてる感じがして。お前も彼なら、自然体で付き合えるんじゃないかなって思ったんだ」
――自然体で……?
思ってもみなかった言葉に、俺は戸惑った。確かに、ノンケに恋し続けるのが不毛なことくらい、俺にも分かっている。その点あいつなら、男が好きと明言しているし……。
いやいや、と俺は慌ててその考えを打ち消した。あいつは、大嫌いな天花寺義重の息子だ。それに、俺を好きと言いながら、別の男と暮らしているような奴……。
「俺は、プロ棋士嫌いだって! 第一、あいつが男を好きって保証も無いじゃん!」
――本当は、男好きって知ってるけど……。
「――そりゃそうだけど、でも」
馨は、いつになくしつこかった。
「これは、俺の親友としての直感だよ。二人、上手くいきそうな予感がする。昴太。お前もそろそろ、『だめんず・うぉーく』を止めてもいいんじゃないか」
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